http://blogs.reuters.com/photographers-blog/2010/03/29/dark-side-of-japans-pet-boom/
http://www.occupyforanimals.org/japans-radical-response-to-abandoned-dog-problem.html
(上の写真はこちらから転載させて頂いております。)
狂犬病予防法違反も見逃す警察&センター。
ペットショップに足を踏み入れれば、いくらでも違反が確認できます。
鑑札も装着せず、120日たった子犬に予防接種せず、登録せず、のペットショップはざら。
なぜ見逃すのでしょう?
まるで、業者の犯罪に荷担しているようです。
犬猫を容易に増やし、容易に処分するのをゆるす、この社会システムを
変えなければ、チロの未来は変えられません。
探されている飼い主さんへ あきらめないでください!
逸走した動物の情報をANJサイトに掲載いたします。事務局まで、写真とデータ(種類・色・大きさ・雌雄・特徴・性格・年齢、逸走場所、逸走日時、状況)をお寄せ下さい。
いのち、ひとつひとつに向き合う時代です。国が主導のきちんとした制度のもとで全頭マイクロチップを導入し、欧州並みの個体識別を進めましょう。それにより、どの迷子も飼い主のもとへ帰れるように、また、捨てた飼い主がだれであるかを突き止めることができるように、制度を整えましょう!
ただし、従来のマイクロチップAIPOは、ただの気休めでしかありません。
個体識別どころではありません。
間違った情報の登録がなされており、事務処理もうまくいっていないなど、多くの苦情が寄せられており、非常に問題となっているのが現実です。
真剣な、命を救うためのマイクロチップでなければ、意味がありません。
今回の法律で、非営利であっても、シェルターを有し、犬猫うさぎなら10匹以上を飼育する者は、第二種動物取扱業として都道府県への届出が義務づけられ、監督の対象にされることになりました。
________________________________
環境省のパンフより:
改正動物愛護管理法により、新たに「第二種動物取扱業」が設けられました。これは、
営利性を有しない、動物の一定規模の取扱いについても、不適正飼養が見られること
から、都道府県等はその状況について把握し、指導等を行うことが必要として、設け
られたものです。
非営利の活動であっても、飼養施設を有し、一定頭数以上の動物の取扱い(譲渡・展
示・訓練等)をする者は、あらかじめ、飼養施設の所在する都道府県等への届出が必要
になります。
※動物愛護団体の動物シェルタ-、公園等での非営利の展示などが対象になります。
なお、少頭数ごとに、個人の家庭で飼養を行っている場合については、届出の対象
にはなりません。 (抜粋以上)
_________________________________
民間の保護団体や個人ボランティアは、公的な生かすためのシェルターがないこの国で、捨てられた犬猫や虐待を受けた動物たちを民間シェルターで保護飼育し、譲渡しています。人手も経済支援もないままで、善意だけで動物を保護することは、大変な仕事です。こうした私たちの活動への国や都道府県による支援は原則ありません。しかしこうした民間シェルターの存在があったから救われた犬猫もいたわけで、殺処分の抑止にもつながり、地域住民への啓発の基地ともなり、大きな社会貢献をしてきたといえます。
行政はこのような民間団体を支え、物的人的支援を行い、活動の継続を促すよう働きかけるべきです。本来ならば国が行うべきことを民間に投げているわけですから。
しかし今回の法改正は、活動への支援どころか、規制をもたらすものとなっています。
動物保護団体の活動を支援し、私たちが「犬猫のいのちを生かす」目的を達成するために活動しやすくなるよう、官民協働で、あらゆる面で協力するのが、本来のあり方だと思われます。しかし、騒音や環境の不衛生を口実に、犬猫ウサギなら10匹以上を抱える民間シェルターは、第二種動物取扱業として、行政による規制の対象とされてしまいました。
確かに、感染症の管理がうまくいかないところや、動物の鳴き声、衛生面で問題のある施設もあるでしょう。
センターや保健所に収容され、処分寸前のものを引き出すと、そこには必ず感染症のリスクがあります。1匹のセンター引き出しの猫がもとで、施設の収容動物の多数が死んでしまったという話もあります。殺すことを前提にするセンターにはパルボやジステンパーが蔓延しているからです。ワクチン代が出せればみんな助かったはず、でもそのお金がない、それでも放置できず助けた人を責めることはできますか?誰にもできません。ワクチン代を出すシステムを持たない行政こそ罪深い、感染症を蔓延させて洗浄を徹底しない都道府県こそ罪深い、そう思われませんか?
お金はあるところには使われずにあるのですから。
動物のためでなく、国とのパイプを持った「保護団体」の活動のための、家賃や交通費や人件費となって消えていくお金が。
動物を保護する人は、ほぼ多頭飼育となっています。ひと腹から産まれる犬は10匹、猫は5匹。捨てられているものを保護するときは、すでに多頭だからです。
支援もないなかで、自腹を切ってこれだけの頭数の保護譲渡を行うのは至難の業ですが、警察も市役所も助けてくれない、しかし見殺しにできない、だから仕方なく民間ボラが保護に避妊手術にと動いています。とはいえ、保護に明け暮れるボランティアさんもかなり高齢化が進み、70代、80代の方が何と多いことでしょうか。後継者問題が解決しない、あるいは世話が困難というところもあります。
しかし、もともとは、行政が見捨てたものを助けてきた動物ボランティアさんたちです。
日本がこのままでよいはずはありません。
日本にはアウシュビッツがある、と世界で言われているままで、よいはずはありません。
今回のような法的規制を保護活動団体に行うならば、経済支援・人的支援とともに、解決につながるような真剣な繁殖業者取締と遺棄をさせないための国民への啓発をも同時に行うべきではないでしょうか。
行政担当者には、事務所のデスクのPCの前でなく、まず私たちの保護譲渡活動の現場に出てきて、ご自身の目で動物の遺棄や処分の現実を見て、どうすれば悲惨な現実を変えられるのか、組織の一員でなく、ご自身で考えて頂きたいと思います。
この国ではあまりにも多くの犬猫が捨てられている現実があります。
個人に押しつける時代は終わりました。
多頭飼育者を責めるのでなく、支援を!
口を出すなら、まず手を出せ!金を出せ!、がボランティアの仁義です。
きれいなところにいて規制ばかり叫ぶのでなく、すべきことはまずシェルターの手伝いです。
ワクチン代のカンパです。
動物の遺棄。
わたしたち動物ボランティアは、
これを
やめさせたいのです。
これを
どうにかしたいのです。
享年12
幸四郎
日本には、虐待を受けた動物を保護するための条文がありません。
犬の多頭飼育崩壊現場で起きた犬の死亡。
ボス犬にどうしても服従しない老犬が、ボス犬に噛み殺されてしまいました。
殺される予見は十分にできる状況にあったのです。
この犬は、訪れる人間たちの陰に隠れ、ボス犬から逃げるようにしていました。
私たちボランティアは危険を察して、この老犬を隔離するための保護場所を準備しました。
犬小屋を整え、隔離できるスペースを作ったのです。
(飼い主は私たちへの譲渡引き渡しを頑なに拒みますので、連れ帰ることはできませんでした。)
私たちは、この他県の現場で犬たちをずっと見張っているわけにはいかず、
飼い主に託し、立ち去ることしかできませんでした。
しかし飼い主は保護場所を使わずに放置していました。
9月12日、飼い主の留守中に、この穏やかな犬は、ボス犬に噛まれて死亡していたことを後日知ることになりました。
私たちがどんなに涙を流し、叫んでも、幸四郎はもう帰ってきません。
なんという虚しさ、悔しさでしょう。
いのちを助けるために毎月他県に通ってサポートをしてきているのです。
それは、飼い主に任せていたのでは解決にはならないこと、
飼い主の気持ちに寄り添って、協力を示すことで、犬を生かすことつながることを思うからです。
掃除やゴミ捨て、犬への投薬、飼い主への精神的・物的サポート。
多くの人と通ってきました。
行政に支援を求めても、何もしてくれません。
法律に不備があるからです。
虐待を受けている動物を助け出せない。
虐待は違法で犯罪だけれども、虐待を受けている動物を
救出する法律の条文が欠けているのです。
せいぜい行政のできることは、現状では狂犬病予防法違反で全頭処分くらいです。
だから私たちはなかなか行政に対し救出依頼をすることができません。
飼い主の所有権放棄がなければ、私たちはどうすることもできません。
運良く手放してくれても、保護場所がない。
そうなると、有志の民間ボランティアが引き取るしかありません。
そうして第二・第三の多頭飼育現場がうまれます。
多頭飼育者は、被害者です。
不幸な多頭飼育者をなくすためには、取締や罰則で十分なのでしょうか。
せめて現場に来てつかまえ、避妊去勢に協力すること、助成金を出すことこそ、今、行政が力を入れるべきことだと思います。
1.一時的にシェルター(既存のものでも民間シェルターでもよい)に保護できる。
2.(一時的に保護できるだけでは最終解決にならないので、)所有権を剥奪し保護譲渡できる。
以上のような条文が盛り込まれればどんなに行政が動けるでしょう。
保護する権限を行政に与えること、これが大事です。
効果的に行政が動けるような法改正を早急に行う必要があります。
ちなみに、この現場で、「私たちがお金を出し搬送するから、避妊去勢のための捕獲をしてほしい」と協力を県に求めると、飼い主の同意なく捕獲することも、避妊手術をすることもできない、違法となりムリだと断られました。
飼い主とよく話し合ってほしい、と。
まるで人ごとです。
何ヶ月も前から説得しても、飼い主が犬に避妊をしないから、こうして県に相談しているのです。
また、生まれてしまう。
もう、子犬のミイラを見るのはいやです。
私たちも飼い主に対して説得を続けます。
同時に、犬たちは野犬のように吠えかかり、逃げ惑うばかりで、広い敷地でなかなかつかまりませんので、野犬の捕獲に慣れた方を探しています。
いらしたら連絡をください。
fwin5675@nifty.com
ANJ事務局
海外から来る人は、庭先で1m程度の鎖につながれている日本の犬を見て、これは虐待であると言います。ペットショップでの生体販売にも身震いし、どうして日本ではこんなことが許されるのか?と憤ります。「日本は経済的には豊かで西欧化された国だが、動物に対する福祉は大きく立ち遅れて残忍」と。外国からお客様をお迎えしたとき、こうした言葉を何度聞いたことでしょうか。
では、海外ではどうなっているのか。たとえばイタリアの動物愛護事情はどう異なるのか、少しのぞいてみましょう。まずはローマ市の条例の一部をご紹介します。
■ローマ市の条例
◆犬を庭やベランダに置きっぱなしは禁止。家のなかで家族の一員として飼育するべき。
◆猫をケージに入れっぱなしは禁止。
◆犬をチェーンに繋ぐのは基本的に禁止。どうしても繋ぐ場合は、高さ2mに張った、長さ5m以上の空中ロープに、長さ6m以上のチェーンをつけて繋ぐこと。但し、繋留は1日に8時間を超えてはいけない。
◆サークルの広さは20平方メートル以上に。1匹増えるごとに6㎡広げる。授乳中の母犬・子犬は隔離し、ほかの成犬といっしょにしない。
◆自治体は動物保護団体に財政支援し、育てていく。
◆治癒不可能な場合を除き、愛護動物の殺処分は行われない。
◆捨て犬猫は公的シェルターで終生飼養される。
◆子犬や子猫は生後60日以内に親から離すことを禁止する。
◆野良犬猫の避妊去勢手術代は自治体が支払う。
◆車に轢かれた動物を助け、動物病院に搬送するときの交通違反には「緊急避難」が適用され、その治療費は自治体が負担する。
◆氷の上にロブスターを置くのは虐待。
◆地域猫は自治体の保護下にある。自治体に登録した愛護団体が地域猫の捕獲・手術を行い、給餌・給水の世話をする。登録愛護団体は、地域猫の餌に困ったら、公立の学校給食センターで余りものを貰い受けることができる。
◆州法で地域猫ならぬ「地域犬」が認められている。ワクチン接種・狂犬病予防接種・避妊去勢手術・マイクロチップ個体識別を済ませて首輪にはっきりとわかる鑑札を付け、動物保護団体により世話を受けている「自由犬」「地域犬」も存在する。
* * *
以上のように、動物愛護事情は日本とまったく異なることがわかります。続いてほかの制度をご紹介します。
・・・(続きはPDFをご覧下さい。)
海外の事例に学ぶべき! 飼うことの禁止を禁ずるイタリア新法
イタリアの全家庭の55,3%が家庭動物を飼育している。その内訳は「Eurispes 2013」によれば、犬55,6%、猫49,7%、魚9,7%、鳥9%、カメ7,9%、うさぎ5,3%、ハムスター4,6%、爬虫類1,1%とされる。
持ち家でなく、マンションやコンドミニアムで飼育する家庭も当然多い。そうした集合住宅で動物飼育に関連して生じる問題には、糞尿 (30%)、騒音 (27%)、におい(20%)が挙げられる。
2013年6月18日、ついにイタリアで集合住宅の動物飼育に関して新たな法律が施行された。その新法では、動物を飼う自由はいっさい制限できなくなったのである。集合住宅では、公共のエリアに連れていくこともできる。ただし、飼い主がきちんとしつけをほどこして、動物が行儀よく振る舞えること、他人様の動産・不動産を破壊しないことが前提条件となる。
また、集合住宅の敷地に住み着いた野良猫たちを(医療行為を行う目的以外に)つかまえたり遠ざけたり、どこかに移動させることも違法であることが明らかにされた。(しばらく前には、最高裁が「コンドミニアムに住む猫たちを追い出すことは、群れて住む猫の習性に反する」とし、猫を追い出すことを禁止した判決を下している。)これは、イタリアの国家をあげての野良猫不妊手術・地域猫活動の推進を背景にしているといえる。
愛護動物繁殖防止法を受けて各自治体が定める条例には、たとえば「3匹以上の猫を市民がみつけたら、そこは野良猫のコロニーがあると理解し、市役所に連絡して捕獲器を借り出し、つかまえて保健所で無料で避妊去勢手術を受けさせ、数日後に迎えに行って、つかまえた場所にもどしなさい」といった指示がある。野良猫の避妊手術はイタリアでは行政が行うので、原則無料である。これが、今回の新法の「野良猫追い出し禁止」の法的根拠となっているのだろう。
また、これまで法律が用いていた言葉は「伴侶動物」であったが、「家庭動物」 “animali domestici”の用語が用いられるようになったことも、意識の変化の表れだろう。つまり、2013年にしてようやく、犬猫ウサギは、もはやただの「物」ではなく「感覚をもつ生き物」と捉えられるようになったのだ。(ただし、エキゾチックアニマルは「家庭動物」とはみなされない。)こうして、集合住宅で動物と暮らす自由があらゆる人に保障されるようになった。
今回、集合住宅で住人が動物を飼うことを拒めなくなったが、もしも飼い犬猫がほかの住民の身体や財産に危害や損害を加えれば、刑法635条、639条に定められた通り、それを賠償する責任が生じるし、汚物で汚したら洗浄しなければならないことに変わりはない。飼い主も十分わきまえるべし、飼い犬も十分しつけを受けるべし。ただ、イタリアは新しい法律で「犬や猫は家族の一員。いっしょに暮らすのを禁止するのは、人間と動物の権利を侵害するものである」と規定した。21世紀のイタリアが下した結論だ。
■ルーマニアの殺処分に抗議■
ルーマニアで野良犬の殺処分がいまだに行われていることに、ヨーロッパの動物保護団体から非難の声が上がっています。
「ヨーロッパの一員である国が、21世紀を迎えた現在も、殺処分という中世的で野蛮な対策しか持たないとは信じ難くまた許しがたい。
殺すことは解決にはならないのは明らかである。先進国として採るべき策は、避妊去勢手術による頭数管理と、国民への教育・啓発であろう。」
法律が変わったことで、罰則は強化されました。
<殺す、傷つける → 200万円>
愛護動物をみだりに殺し又は傷つけた場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されます。
<給餌給水しない、酷使、医療ネグレクト、不衛生な環境を放置等の)虐待
→ 100万円>
また、愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、100万円以下の罰金に処されます。
<遺棄 → 100万円>捨てたら100万円です。
(環境省のHPに掲載されている数字はなぜか50万円となっていますが、間違いと思われます。昨年改正された法律では、捨てたら100万円です。)
▶ 動物の所有者の責務として、動物がその命を終えるまで適切に飼養する
こと(終生飼養)が明記されました。
▶ 動物取扱業者の責務に、販売が困難になった動物の終生飼養を確保する
ことが明記されました。
▶ 都道府県等は、終生飼養に反する理由による引取り(動物取扱業者から
の引取り、繰り返しての引取り、老齢や病気を理由とした引取り等)を拒
否できるようになりました。
▶ 動物の所有者の責務として、動物がその命を終えるまで適切に飼養する
こと(終生飼養)が明記されました。
▶これから3年間は、45日を経過しない犬猫を販売してはなりません。
▶第二種動物取扱業が新設されました。
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
広く国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるため、毎年9月20日から26日までを動物愛護週間とし、国及び地方公共団体ではその趣旨にふさわしい行事を実施しています。
動物の飼い主は、動物の種類や習性等に応じて、動物の健康と安全を確保するように努め、動物が人の生命等に害を加えたり、迷惑を及ぼすことのないように努めなければなりません。また、みだりに繁殖することを防止するために不妊去勢手術等を行うこと、動物による感染症について正しい知識を持ち感染症の予防のために必要な注意を払うこと、動物が自分の所有であることを明らかにするための措置を講ずること等に努めなければなりません。なお、動物の所有情報を明らかにするためにマイクロチップなどの装着を推進しています。
家庭動物、展示動物、畜産動物、実験動物のそれぞれについて、動物の健康と安全を確保するとともに動物による人への危害や迷惑を防止するための飼養及び保管等に関する基準を定めています。また、動物を科学的利用に供する場合は、いわゆる「3Rの原則(苦痛の軽減等)」等に配慮するように努めなければなりません。また、実験動物を利用する際には苦痛の軽減、動物に代わり得るものの利用、数の少数化などの基準を定めています。
第一種動物取扱業者(動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者)は、動物の適正な取扱いを確保するための基準等を満たしたうえで、都道府県知事又は政令市の長の登録を受けなければなりません。登録を受けた動物取扱業者には、動物取扱責任者の選任及び都道府県知事等が行う研修会の受講が義務づけられています。また、都道府県知事又は政令市の長は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告や命令を行うことができ、必要がある場合には立入検査をすることができます。悪質な業者は、登録を拒否されたり、登録の取消や業務の停止命令を受けることがあります。
また、飼養施設を設置して営利を目的とせず一定数以上の動物の取扱いを行う場合については、第二種動物取扱業者(動物の譲渡し、保管、貸出、訓練、展示を非営利で業として行う者)として、都道府県知事や政令市の長に届け出なければなりません。
多数の動物を飼うことによって周辺の生活環境が損なわれている場合、都道府県知事又は政令市の長はその飼い主に対して必要な措置をとるように勧告や命令を行うことができます。
国が定めた危険な動物を飼う場合は、法律に基づき都道府県知事又は政令市の長の許可を受ける必要があり、動物が脱出できない構造の飼養施設を設けるなどして、事故防止を図らなければなりません。また、飼うにあたってはマイクロチップなどの個体識別措置が義務づけられています。
都道府県等は、犬及びねこの引取りを行うとともに、道路、公園、広場、その他の公共の場所において発見された負傷動物等の収容を行います。
動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するため、環境大臣が基本指針を、都道府県は推進計画を定めます。
都道府県知事等は動物の愛護と適正な飼養を推進するため、動物愛護推進員を委嘱するとともに、動物愛護推進員の活動を支援するため協議会を組織することができます。
愛護動物* をみだりに殺し又は傷つけた場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されます。また、愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、百万円以下の罰金に処す給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行った場合、あるいは遺棄した場合は、50万円以下の罰金に処されます。
(← 50万円でなく、100万円のはずです。)
以上、環境省のHPから。
OXさん いつもお世話様です。
今年の夏は厳しい暑さで、更にお彼岸が過ぎても夏の暑さが続いています。年を取ってきた体には、この暑さは堪えます。
動物の愛護及び管理に関する法律が改正されましたが、私たちが扱っている野良猫たちの扱いがこれからどのように変わるのか、それを確認し、整理をしてみました。(別紙)
別紙を見ていただければお分かりと思いますが、
1. 愛護動物は「終生飼養」としてあります。これは明快です。
2. 愛護動物とは何か?猫もそこに明記されていますが、家猫、ノラ猫については明記されていません。しかし法律文を通読していくと「家」も「ノラ」も「猫」としてひと括りにしている事が読み取れます。例として別紙では「罰則」の条文をあげました。
行政の犬猫引取りについては、「生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合については、引取りを求める事由、頻度及び頭数に応じて、飼養の継続及び生殖を不能にする不妊又は去勢その他の措置に関する必要な助言を行った上で引取りを行うこと」として原則として引き取りをする、が、これ以外は「引取りの拒否を行うように努める」とあります。
3. 「改正動物愛護法」ではノラ猫については今回の改正は中途半端であると考えます。「ノラを全て捕獲して殺処分する、」そして「ノラを全て捕獲して保育する」の両極端をあげてみると、前者は動物愛護ではなく後者は明らかに動物愛護です。そうなら、法律は後者にしなければならないはずでした。どちらを採用してもタダではなく費用は掛かります。税金を使うことに代りがなければ、後者に徹しなければならないはずでした。
4. 中途半端でも「改正動物愛護法」により、ノラ猫と関わることになるのですが、なにがどうできるのか?以下、あげてみました。
① ノラの猫は地域で生存しているなら、地域の猫、社会の猫である。社会の猫も愛護動物とするなら、行政は社会の猫を愛護動物として扱わなければならない。
② 社会の猫は今まで、猫ボランティアが扱ってきたが。その作業の内訳はほとんど知られていない。項目をあげると以下である。
社会猫の動静把握、捕獲、動物医師への搬入、不妊手術・ワクチン摂取、処置後の猫を地域へ搬送、里親探し、広報活動、資金カンパの活動、会計等事務処理、等々。
③ 「改正動物愛護法」では、行政はノラの猫に主体的に積極的に取組まなければならないはずである。実際の取組みは、段階的に取組むこととして、
第一段階、 猫ボランティア活動の把握、地域の状況の把握並びに地域猫活動に対する広報。
第二段階、 財政支援
第三段階 ####
5.① 猫ボランティアの老齢化を行政はどう考えているのか?
行政は猫ボランティアの活動は私ごとで公ではないと考えていたのであろう。
今まで、行政はノラ猫を猫ボランティアの活動に任せきりにして、その活動により猫の制御がなされてきた。ここにきて、ひとの社会での人口減、老齢化の進行、そして猫社会ではこれとは無関係に自然増、のかたちになっている。
そして、人口減、老齢化と共に、猫ボランティアの老齢化が急激に進行している。これは、これからは行政がノラの猫に主体的に積極的に取組まなければならない時期にきている、と考える。
② 猫ボランティアは里子に出せなかった猫たちを抱えている。大なり小なり、多頭飼育である。後期高齢者の猫ボランティアが、5年経てば「後期・後期高齢者」になる。いままで活動してきた猫ボランティアが突然の活動停止、この事態、このとき、どうするのか、どうなるのか。猫ボランティアの猫たちの救済を制度として考えなければならないのではないか?今まで、猫ボランティアを放置し過ぎてきた。そう考えるが、どうか。
行政が猫ボランティアに寄りかかる、もう、そんなことをしてはならないと考えるが、どうか。
OXさん
私たちは行政に対し何らかの形で意見を届けていきたいと考えています。今まではノラ猫は邪魔者としてきましたが、社会猫として認めさせ、猫ボランティアとしてその存在意義を認めさせ、地方自治体を参加させたいと考えています。
OXさんは今まで多くのお仕事をなさってきました。ご意見を承り、そしてご協力をお願いしたいと考えています。よろしくお願い致します。
2013.10.11 猫と友達 地域猫 (東久留米)
川井登志子
川井 満
(別紙) 動物愛護法 改正
犬や猫を殺せば200万円もの罰金が取られます。ところが邪魔になった犬猫を保健所に連れて行けば、タダで殺してくれる、そんな制度はおかしいといって、私たちは動物愛護法の改正に取組みました。「改正 動物の愛護及び管理に関する法律」は2013.9.1から施行しました。
「1」「改正・動物愛護法」は犬や猫に、そして、人々にどんなメッセージを伝えているか?
1. 終生飼養です。 第7条4項
2.犬及び猫の引取り 第35条 何でも引き取るとは限らない。
① 犬又は猫の引取りをその所有者から求められた時は、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売御者から求められた場合、その他の第7条第4項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_h25_86.pdf
②都道府県等が、所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその取得者その他のものから求められた場合に準用する。
③引取りを行った犬又は猫について、殺処分がなくなる事を目指して、所有者の発見に努め、・・・・・・・・・飼養を希望するものへの譲渡に努める。
「2」ノラ猫、捨猫をどう助けていくか、が書かれています。
3.罰則 第44条
① 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけたものは、2年以下の懲役又は、二百万円以下の罰金に処する。
② 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束する~ その他の虐待を行った物は、百万円以下の罰金に処する。
③愛護動物を遺棄した者は百万円以下の罰金に処する。
4.地方自治体がやらなければならないこと、それは何か。
当然、ノラの犬猫の保護、そして、地域猫対策の推進です。
「3」法律改正のほかに、国会で更に付帯決議が議決されました。
衆参両議院付帯決議(部分) 平成24年8月28日
8 飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の下に管理する地域猫対策は、猫に係る苦情件数の提言及び猫の引取り頭数の減少に効果があることに鑑み、官民挙げて一層の推進を図ること。なお駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められないが、やむを得ず引き取る際には、猫の所有者又は占有者を確認しつつ関係者の意向を踏まえた上で、引取り後に譲渡の機会が得られるよう最大限努めるよう、各地方自治体を指導すること。
環境省令
○犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について
平成18年環境省告示第26号 最終改正:平成25年環境省告示第86号
動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第35条第1項本文及び第3項
の規定による犬又は猫の引取り、並びに法第36条第2項の規定による疾病にかかり、又は
負傷した犬、猫等の動物及び動物の死体の収容に関する措置は、次によるものとする。
第1犬及び猫の引取り
1都道府県等(法第35条第1項本文に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)の長(以下「都道府県知事等」という。)は、犬又は猫の引取りの場所等の指定に当っては、住民の便宜を考慮するとともに、引取りの場所等について、住民への周知徹底に努めること。また、都道府県等は、この引取り措置は、緊急避難として位置付けられたものであり、今後の終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取り又は引取りの拒否を行うように努めること。
2都道府県知事等は、所有者から犬又は猫の引取りを求められたときは、終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底を図る観点から、引取りを求める相当の事由がないと認められる場合にあっては、法第35条第1項ただし書の規定に基づき、引取りを行わない理由を十分説明した上で、引取りを拒否するよう努めること。ただし、生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合については、引取りを求める事由、頻度及び頭数に応じて、飼養の継続及び生殖を不能に
する不妊又は去勢その他の措置に関する必要な助言を行った上で引取りを行うこと。
3遺失物法(平成18年法律第73号)第4条第3項では、同条第1項及び第2項の規定について、法第35条第3項に規定する犬又は猫に該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、これを適用しないこととされていることを踏まえ、都道府県知事等は、都道府県警察との間で協力体制を構築すること。
4都道府県知事等は、法第35条第1項本文又は第3項の規定により引き取った犬又は猫について、引取り又は拾得の日時及び場所、引取り事由並びに特徴(種類、大きさ、毛色、毛の長短、性別、推定年月齢、装着している首輪等の識別器具の種類及びそれに付されている情報等)を台帳に記入すること。この場合において、所有者が判明していないときは、都道府県知事等は、拾得場所を管轄する市町村の長に対し、当該台帳に記入した事項を通知するとともに、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第6条第8項の規定に準ずる措置を採るよう協力を求めること。ただし、他の法令に別段の定めがある場合を除き、明らかに所有者がいないと認められる場合等にあっては、この限りでない。
5都道府県知事等は、法第35条第3項の規定により引き取った犬又は猫について、マイクロチップ等の識別器具等の装着又は施術の状況について確認するように努めること。ただし、識別器具の装着ができないと考えられる幼齢の犬又は猫については、この限りではない。
6都道府県知事等は、法第35条第1項本文又は第3項の規定により引き取った犬又は猫について、必要に応じて治療を行うこと。ただし、治療を加えても生存することができず、又は治療することがかえって苦痛を与え、若しくは長引かせる結果になる場合等、死期を早めることが適当であると獣医師又は都道府県知事等が判断した場合にあっては、この限りでない。
第2負傷動物等の収容
1法第36条第2項の規定による動物及び動物の死体の収容は、都道府県知事等が、施設の収容力及び構造並びに人員の配置状況、当該地域における疾病にかかり、若しくは負傷した動物(以下「負傷動物」という。)又は動物の死体(以下「負傷動物等」という。)の発生状況等を踏まえ、法第44条に規定する愛護動物のうちから適切に選定して行うように努めること。
2都道府県知事等は、法第36条第2項の規定による通報があったときは、公共の場所を管理する者等関係者の協力を得て、負傷動物等を迅速に収容するよう努めること。
3第1の3から6までの規定は、都道府県知事等が負傷動物等を収容した場合について準用する。
第3保管、返還及び譲り渡し
1都道府県知事等は、犬若しくは猫を引き取り、又は負傷動物を収容したときは、その健康及び安全の保持等を図る観点から、構造等が適正な施設及び方法によって保管すること。
2都道府県知事等は、殺処分がなくなることを目指して、施設に保管する犬、猫等の動物(以下「保管動物」という。)のうち、所有者がいると推測されるものについては公報、インターネット等による情報の提供等により、また、標識番号等の明らかなものについては登録団体等への照会等により、当該保管動物の所有者の発見に努めること。
3所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引取りを求められた保管動物及び所有者の発見ができない保管動物について、家庭動物又は展示動物としての適性を評価し、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与えるように努めること。
4保管動物の飼養を希望する者の募集は、近隣の都道府県知事等との連携を図りつつ、できる限り広域的に行うように努めること。この際、保管動物に関する情報の提供については、インターネット等の活用により広域的かつ迅速に行われるように努めること。
5保管動物の譲渡しに当たっては、飼養を希望する者に対して事前に飼養方法等に関する講習等を行うとともに、マイクロチップの装着及び不妊又は去勢の措置が確実に行われるようにするための措置を講じるように努めること。また、飼養を希望する者が第二種動物取扱業に該当する場合にあっては、適切に届出がなされているか等について確認を行うこと。
6施設における保管の期間は、できる限り、保管動物の所有者、飼養を希望する者等の便宜等を考慮して定めるように努めること。
7保管動物の飼養を希望する者の募集、保管動物の譲渡し後の飼養の状況を確認するための調査等の業務については、必要に応じて動物愛護推進員、動物の愛護を目的とする団体等との連携を広く図りつつ行うように努めること。
8保管動物の所有者及び飼養を希望する者の便宜を考慮して返還及び譲渡しを行う場所等の指定を行うとともに、それらについて周知に努めること。
第4処分
保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者への譲渡し及び殺処分とする。
第5死体の処理
動物の死体は、専用の処理施設を設けている場合には当該施設において、専用の処理施設が設けられていない場合には廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の定めるところにより、処理すること。ただし、化製その他の経済的利用に供しようとする者へ払い下げる場合は、この限りでない。
第6報告
都道府県知事等は、犬若しくは猫の引取り又は負傷動物の収容及び処分の状況を、別記様式により、環境省自然環境局長に報告すること。
《「注」環境省告示で、朱色、下線及び囲み線は川井が設定した。》
東京都 |
福祉保健局健康安全部環境保健衛生課動物管理係 |
163-8001 |
新宿区西新宿2-8-1 |
(03)5320-4412 |
5月31日に警察署から引き取られた首輪付きの猫が、動物管理センターで処分されたそうです。(札幌では猫の処分は持ち込みの当日に行われるのか、翌日なのかは確認中です。実際、この猫が処分された日は紙面では明確にされていません。)飼い主が連絡をしたときは間に合わなかったのです。
****************
(センターの処分の理由)
・用意したケージが小型で外から首輪が確認できなかった。
・警察から首輪がついていることを指摘された職員が獣医師に伝達しなかった。
・獣医師がケージを開けると猫が威嚇したため攻撃性があり保護は難しいと判断。
****************
首輪の確認も行われずに、猫は処分されるのでしょうか。
「ケージを開けると猫が威嚇した」とありますが、これは当たり前のことで、人慣れした飼い猫でさえも、環境が変われば怖がって威嚇をします。そもそもケージに入っているということは、拾得者がつかまえられるほど人慣れしているということです。野良猫はまずつかまりません。そのあたりを、担当獣医師や職員の方はおわかりになっているのでしょうか。
飼い猫であるにもかかわらず、勝手に「拾得者」により捕獲され、保健所やセンター、警察に持ち込まれるケースが生じています。地域で不妊手術を行い、給餌や給水のケアを行っている地域猫も、その対象にされています。
それなのに、拾得者による猫の持ち込みがまだ第3項に残っている、これはたいへん危険であります。
2012年、犬そして猫の安易な引き取りを見直すよう、次のように法律も改正されました。(施行は今夏。)
動愛法の第三十五条:
(旧)「引き取らなければならない」
(新)「引き取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引き取りを拒否することができる」
犬(狂犬病予防法)はともかく、猫の殺処分に法的根拠はまったくありません。
安易な引き取りと処分は、動物愛護法の精神に反するものです。
今回のような行政による首輪付き飼い猫の即殺処分は、刑事法上はともかくも、明らかな人為ミスも考えられることから、民事上ないし国賠法上の損害賠償請求訴訟の可能性が出てくることを、全国の行政職員の皆様にお伝えしたいと存じます。
*************************************
*************************************
<環境省HP「議事録」より抜粋>
では、次に、公益財団法人実験動物中央研究所の鍵山直子さんから御説明をいただきたいと思います。
鍵山さん、本日はお忙しいところを、どうもありがとうございました。
【鍵山氏】 実験動物中央研究所、鍵山でございます。よろしくお願いいたします。
実験動物の適正な取扱いの推進につきまして、いただきました論点が三つございます。その三つの論点に沿いまして、実験動物関係者のこれまでの取組、そして指針改正に関する要望でしょうか、そういったことについて御説明させていただきます。
論点1でございます。実験動物の飼養保管等基準の遵守状況について、実態把握の継続ということをいただいております。
実験動物関係団体、関係者によるところの実態把握といたしましては、当時文部省所管の日本実験動物学会と農林省所管の日本実験動物協会、略して日動協と呼んでおりますが、それぞれが昭和31年と昭和60年以来、大体3年ごとに実験動物の飼養数あるいは販売数に焦点を合わせて、基準の遵守状況の実態把握を行ってまいりました。
その結果を、動物の種別、種別といいますのは、マウスとか、ラットとか、イヌとかそういうことでございます、そして、業態別、これは大学と、それから製薬会社あるいは生産者、こういったことでございますが、そのようにくくりまして、集計値を会誌に、最近ではウエブのほうに公表してまいりましたし、今後も継続する予定でございます。
基準の実効性の担保はどうしているかということなんですが、平成16年以降、基準の実効性に関する外部検証が三つの団体によって実施されておりまして、特に基準ということで考えますと、実験動物生産施設が重要でございますが、それらを対象とする基準が2006年に改定されましたので、その内容を踏まえまして、チェックシートを見直して、より網羅的な調査、評価ができるようにということでいたしておりますし、来年度からは、調査、評価だけではなく、認証のシステムに移行することを予定し、このような変更を公表しております。
あと、行政による実態把握に対する協力といたしましては、御紹介がありましたように、環境省と文部科学省がそれぞれ実験動物の適切な取扱い、または動物実験に係る体制整備のアンケート調査が実施されました。大学等におきましては、御紹介がありましたように100%回答したということでございますけれども、中には回答率がちょっと不安定な部分もあるという指摘もありまして、このことは、私どもから見まして自主管理の網羅性とか透明性、これに影響を及ぼすと考えますので、実験動物関係団体が連携して行政当局の調査に協力するということをお互いに合意しているところでございます。
論点の2であります、国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報の収集。これは昨年8月の衆参の環境委員会によるところの附帯決議の一部ではないかと思いますが、その中に確かにこういうこと書かれていました。
それで、すでにやっておるわけなのですが、情報収集先といたしましては、下にポツで示しておりますような団体、こういったところから科学的知見、それから規制の動向も収集をしておりまして、実験動物関係者がそういう対応をとっております。ただ収集するだけではなくて、会誌等を通じまして共有するということを頑張ってやっております。
これらの団体は、科学者集団だけではなくて、普遍性とか、客観性という観点から、適切と判断された愛護団体ともパイプを有しております。ということで、科学と福祉にバランスのとれた相手先を選んでの情報収集をしております。
情報収集の内容でありますけれども、法規制、ハードローといいますか、ヨーロッパで主にやられている法規制、厳格な法規制と合わせまして、アメリカ等の自主管理を担保するための法的な枠組み、すなわちソフトローという、石井紫郎先生の御本にソフトローの御説明がありましたが、そういう法的枠組みに関しても情報収集の対象と考えて実施しております。
国際実験動物学会議(ICLAS)などの国際的な組織、それから、特に獣医に特化したような組織、あるいは国それぞれということでアメリカのほう、それからヨーロッパに関しましては、EUとか、あるいはもう少し大きな組織であります欧州評議会、こういったところから情報を収集しているところでございます。
資料の裏側にまいりまして、論点の3、災害時の取扱いというものを頂戴しているわけなんですが、これは直近の出来事を例にして説明したほうがわかりやすいのではないかと思いました。
東日本大震災に見舞われました実験動物の生産施設とか動物実験施設は、主に東北の方にあるのですが、実際のところ、不明の動物とか、逸走動物は認められておりません。
それというのは、その前に起きました阪神淡路大震災を教訓にして、危機管理に関する手順書あるいはマニュアル、そういうものを各施設が自主的に作成して、毎日の飼養数というのを常日ごろから正確に把握していたということで、失われたかどうかをチェックすることができた、それが功を奏したと考えております。
もう一つ大事なのは、実験動物のライフラインの確保でありますけれども、餌・水・床敷といったものは、国公私立大学の施設協議会がありますが、そういうところでありますとか、最初に出てまいりました日動協がいち早く行動をとりました。そして、お互い連携する、それからお互いに分け合うというか、融通し合って、災害を乗り切ることができた。
外部からの野鼠といった小動物の侵入によるところの施設のクリーン度の低下、汚染、感染症の発生、そういうことも全く確認されておりません。これは、自主管理の責任者であります機関長による自主管理の利点が発揮された結果だと考えます。非常に素早い対応がとれました。
復旧後でありますが、実験動物関係者がシンポジウムとか印刷物とか、そういったもので、限られた情報ではあったけれども、それを共有化するということで、努力をいたしました。それから、その内容は、昨年、実はバンコクで国際会議が開かれたのですが、その場でも報告されまして、東南アジアといいますと、津波のリスクを共有してございますから、そういうところからも大変に感謝されました。
このように、動物愛護の観点から、施設ごとに実効性のある体制というのが構築されてはおりますが、飼養保管基準に書かれているように、災害時の実験動物の取扱いにつきましては、関係行政機関との連携のもとで、とるべき措置をこれからも計画し、実行してまいりたいと考えております。
以上をまとめまして、要望といいますか、お願いといいますか、これをその次にお話ししたいと思うのですが。
まず、実験動物関係者は、動物の愛護管理の基本的な考え方を踏まえまして、動物の利用や殺処分、これを大変厳粛に受け止めておりまして、毎年の動物慰霊祭をほとんどのところが実施している。「ありがとう、君の手柄だよ」と言えるような動物の取扱いに努力しています。
それから、実験動物の飼養は、飼養保管基準に基づき自主管理を基本としてと書いてありますので、そのように、自主管理を基本として適正化を図っておるわけでございます。その基準の周知を図るということが重要だと思うのですが、改定前の基準では解説書がありましたが、しかし、平成18年の改訂におきましては解説書ができておりませんので、そういうものをつくって普及させるということがとても有効じゃないかと考えています。
もし、お役所のほうでそのようなことを計画されるのならば、私ども専門家といたしまして、編集に喜んで協力していきたいと考えております。
それから、実態調査でありますけれども、いろいろと実態調査が役所に限らず動いておるわけで、私が紹介しました学会、協会などもそれに含まれるわけでございますが、動物の愛護及び管理の基本的な考え方、これを前提にしたところの実態調査であれば、もちろん協力するということをここで明言しておきたいと思います。
それから、実態調査、情報収集をするに当たっては、関係省庁とか実験動物関連団体の連携のもとで実施されて、共有化される、こういう落としどころというものが非常に重要でないかと思いますので、そのことを望みます。
それから、適正な実験動物の利用は、使うほうの立場からすると自由闊達で創造性豊かな生命科学研究を発展させるものだと、不可欠なものだというように考えますので、適正な取扱いというものが、我が国のライフサイエンスとか、イノベーションの発展をもたらして、結果的に、国際的な競争力を強化する、そして国益をもたらすというように実験動物関係者は考えております。
基本指針の冒頭にうたわれております動物愛護の基本的な考え方がありますけれども、それは、私は世界に類を見ないほど格調の高いものだと考えております。そして、今申しましたような理由から、実験動物の適正な取扱いに係る部分の指針、指針の中のその部分に関しては、私どもは、見直しは必要ない。ますますこれを継続し、発展させることが、非常にリーズナブルであり、私どもも協力できる、頑張っていけると考えております。
以上ございます。ありがとうございました。
【浅野部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの鍵山さんの御説明、御意見に対して御質問がございましたら、どうぞお出しください。
青木委員、どうぞ。
【青木委員】 どうもありがとうございました。
鍵山先生の最終的な結論としては、見直しの必要はなしという御結論であるというように伺いましたが、平成18年につくりました基本指針の実験動物の適正な取扱いの推進ところには、「現状と課題」という項目と、「講ずべき施策」という項目がございまして、「現状と課題」の中の事実認識として、「自主管理を基本として、その適正化を図る仕組みとなっているが、本基準の遵守、指導等を円滑に行うための体制整備が十分にされていない施設が一部にある」と、こういうことが述べられておりまして、ここも含めて見直し不要ということだと理解しました。そうだとすると、まだ残る一部が不十分だという現状があるわけですが、それをなくすところまで将来持っていくために、どのような施策を展開するのが有効であるとお考えかということを伺いたいと思います。
以上です。
【浅野部会長】 今の御質問、御意見は、現実に、まだ体制が不十分であると、平成18年のガイドラインの改訂時にはそのような記載があったということですね。
【青木委員】 そうですね。
【浅野部会長】 それで、今の御質問は、現在もそういう状態が続いているはずだが、それを克服するための手だてはどうかと、こういう御質問ですか。
【青木委員】 基本指針の見直しが不要であるという御結論だったので、つまり、現状認識で課題になっている部分についてはどうかという質問です。
【浅野部会長】 そこで指摘された問題点は克服されているかどうかということでもあるわけですか。
【青木委員】 すでに克服されているという答えであれば、それでも結構なのですが、文字どおり受け取ると見直しは不要だという御意見でしたから、そうだとすると、現状の問題として残った部分はどうしたらいいか御意見を伺いたい。こういう趣旨です。
【浅野部会長】 よろしゅうございますか。御質問の趣旨はおわかりいただけましたでしょうか。
【鍵山氏】 平成18年の御指摘は、事実、私どもも同意をいたしますが、それから、18年から5年以上、6年、7年ぐらいたっておりますかね。その間に、自主管理をベースとしたような改善の策というものをずっととってきているわけです。5、6年でありますから、100点まで行きましたかと言われるとちょっと困るんですが、着実に動いているので、この自主管理を基本とするこのやり方をそのまま続けていけば、未来永劫100にだんだん近づくであろうということで、そういった意味では、この指針ですか、これを今大きく変える必要はないであろうというように、むしろ私どもの問題として、これを引き取るという意味で申し上げました。
【青木委員】 ありがとうございます。
【浅野部会長】 ほかにございますか。
木村委員どうぞ。
【木村委員】 少々教えてほしいのですが、安楽死のガイドラインという記載がございました。日本での安楽死のガイドラインは恐らく策定されていると思うのですがいかがでしょうか。
【鍵山氏】 されております。
【木村委員】 質問は、安楽死ガイドラインはどのようなものでしょうかというのが1点と、もう1点は、論点3の災害時の報告で、今回の震災で逸走動物や不明動物などがいなかったと報告がございました。これは非常にすばらしいことだと思います。今回の震災時に安楽死などは行われなかったと解釈してよろしいのでしょうか。
【鍵山氏】 安楽死に関する二つの御質問であったと思うんですが、日本にも安楽死に関する指針はございまして、これは環境省の告示ということでお示しいただいております。
ですが、日本の指針の場合は割と骨格的なことが書いておりますので、具体的にどういう薬物あるいはどういう物理的な方法を使って、さらに、こういうことに関して十分注意をして、といった具体的な方法に関する情報は、むしろ海外の、アメリカの安楽死のガイドライン等から情報をいただくと、より完璧なものになると考えております。
それから、災害時に安楽死させた動物はいないかと。それは、おります。行方不明とか、逸走の動物はいなかったけれども、ライフラインが完璧になるまでに、一部の動物は、だらだら生きるか、生かすか、生かさないか、有用度ということの判断なしに、そのまま飼育することなく、どのぐらいの飼料、どのぐらいの水が残っているか、そして餌、水、床敷が来るということの情報が入りますから、これは研究者と相談した上での判断でございますが、一部の動物に関しては苦しみを与えることなく安楽死させたという事実はございます。
そういったことは、この私のペーパーの2ページ目の中ほどに、特集「3.11東日本大震災」と、こういう論文でありますけれども、その中でもって特集を組みまして、全て公開しているという状況でございます。
【浅野部会長】 ありがとうございました。
ほかに御質問がございますでしょうか。
災害時の御説明をいただきまして、よくわかったのですが、全国どこでも同じような災害が起こる可能性があるので、この手順書というのは、かなり徹底して、全国の施設でつくられているという理解をしてよろしゅうございましょうか。
【鍵山氏】 結構でございます。
施設によりまして飼っている動物種とか、そもそも建物の立地条件等が異なったりしますので、各論部分はみんな違いますけれども、一番の原則は全て共有して作成されております。
【浅野部会長】 ありがとうございました。
阪神淡路大震災のときには、ある大学で実験動物が逃げ出して3年間かけての実験が全部だめになってしまった、動物がまじりあってしまってどうにもならなかったという話をお聞きしました。
【鍵山氏】 それが教訓でございました。
【浅野部会長】 その教訓は非常に大きいと思うので、多分そういう経験で、あちらこちらでちゃんとやられるようになったのだろうと思います。
それから、もう一つ、これもある医学部の先生に聞いたのですが、アメリカに論文を出したらリジェクトされてしまった。実験動物の殺し方が残酷過ぎるといって怒られて載らなかったという話を聞いて、結構そういう意味での外国論文に論文を出したりするときのチェックは、そこまであるんだというのを聞きましたから、日本の研究者もよくわかってきているのだろうという気はするわけです。
【鍵山氏】 はい、そのとおりでございます。
あとアメリカとヨーロッパでは安楽死の判断が微妙に異なり、この方法はアクセプタブルだ、これは条件つきだ、これはあかんよという線引きが少し違うものですから、その辺も影響したのではないかと考えております。
【浅野部会長】 よろしゅうございますか。ほかにいらっしゃいますか。
それでは、どうもありがとうございました。
【鍵山氏】 ありがとうございました。
***************************************
***************************************
国民の皆様、環境省の審議会の議事録をぜひお目通しください。
http://www.env.go.jp/council/14animal/yoshi14.html
8週齢問題でもしかり。
審議会のなかで、研究者・有識者がいかに8週齢の有効性をとなえても、司会者により最後はいつのまにか7週齢と結論づけられていました。あのときと同じです。
議事進行を務める人は、なぜ話者の論理の飛躍に同調してしまい、結末を自ら誘導するのでしょう。なぜ、公正でいられないのでしょう。予め行き着く目標が設定されているとでもいうのでしょうか。
議事録は残り、国民はそれを読めるのです。
まやかしに国民がたやすく騙され続けるとでも思っているのでしょうか。
原発再稼働と同じです。いくら安全だ、きちんとやっている、と言っても過去に事故や失態があったのです。過去には動物実験の不正・残酷な扱いや脱走事故があったではないか。カルタヘナ条約違反はなかったのか。それでも、こうした公式の場で、安全だうまくやっていると言いくるめようとする。
自主規制が通るわけがない。情報開示請求をしてもわずかしか結果が出なかった。行政すらわかっていないことを、国民はいくら信じろと言われても、信じ切れるわけがないのです。
私たちは、現時点で、動物実験をゼロにしてほしいとは言っておりません。多くの国民と同様に、生命科学の発展、医療技術の開発のためには、必要な動物実験があるならそれは致し方ないと考えています。
ただ、私たちが求めるのは、行政による動物実験施設の「把握=登録」と、そして「査察」、適正な「指導」、一般原則が守られない場合の「罰則」、それによる国民の安全と健康の確保です。
それなくしては、せっかくの「格調が高い」動愛法の趣旨は徹底されません。
現在、動物実験委員会が設置されていない施設もあるではありませんか。
また、適切に疼痛管理がなされていない施設も、教育訓練が十分でなく、設備も劣悪な実験施設があるわけです。
どうかそれをお認めになってください。
そうした現実がある以上は、希望的推測に逃げることなく、現実としっかりと向き合って、欧米では今や当然である登録制・許可制に移行して、国際的にも整合性のとれた、「真の生命科学研究」を、日本のために国民の名誉のために、ぜひなさってください。
私たちは特定の政党を応援しているわけではございません。どの党から立たれても、本気で動物のために動いて下さる方なら、ANJとしては断固応援をしたいと思っております。そのためにも、各党に超党派の動物愛護議連を結成頂けるよう、文書で要望を出すことに致しました。
平成25年4月28日
要望書
沖縄社会大衆党 委員長 糸数慶子 殿
公明党 中央幹事会代表 山口那津男 殿
自由民主党 総裁 安倍晋三 殿
社会民主党 党首 福島瑞穂 殿
新党大地 代表 鈴木宗男 殿
生活の党 党首 小沢一郎 殿
日本共産党 中央委員会幹部会委員長 志位和夫 殿
日本維新の会 党首 石原慎太郎 殿
日本民主党 党首 海江田万里 殿
みんなの党 党首 渡辺喜美 殿
(五十音順)
全国動物ネットワーク
<要望の趣旨>
各政党・会派に縛られることのない、超党派の動物愛護議員連盟を結成して頂きますよう要望致します。
<要望の理由>
動物愛護に関する諸制度は他の先進諸国に比べ、我が国では非常に立ち遅れております。「動物の扱われ方から国の文化度が測れる」との指摘もされるなか、このような実態を放置することは国家としても憂慮すべきであり、一日も早く対策を講じなければならないと考えます。また、国民の間でも、動物愛護の意識はこれまでになく高まっており、立法府である国会に対する期待も決して小さくはございません。昨年改正されました動物愛護法の更なる進展と、国際水準に届く法制度の整備を行うためには、超党派での取り組みが必要です。国会議員の皆様におかれましては、このような内外の事情を踏まえ、細微な方針の違いを乗り越え、ぜひとも超党派での動物愛護議員連盟を結成して頂きたく要望を致します。 以上
衆議院議長 殿
参議院議長 殿
衆参両院の環境委員 各位
動物愛護管理法改正案に関する意見書
現在、動物愛護管理法が議員立法で3度目の改正を迎えようとしています。
この度、民主党・自民党・公明党・国民の生活が第一党の4党合意に基づく改正案が示されました。
衆議院環境委員会に上程されようとしているこの動物愛護管理法改正案ですが、環境省が昨年8月に実施したパブリックコメントに寄せられた意見と、中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会が昨年12月に環境大臣へ答申した報告の内容とは、相違している点が多々あります。
上記の改正案は、現行法に比べて若干の進歩が認められるものの、多くの問題点を含んでいます。
民意を真摯に受け留め、動物愛護管理政策の実効性を高めるために、以下の事項を改正案に盛り込んで頂けますよう意見を申し上げます。
***************
1 まず指摘する必要があるのは、この度の改正案の策定過程である。即ち、この度の改正案作成に当たっての作業は、総じて、ほとんどの団体・個人・国民の意見は無視されたまま、議論の経緯も公開されず、国会終盤になり、なし崩し的に国会へ提出されようとしているものである。広く国民の意見を求め、それを集約して立法につなげるという、立法本来のあり方から大きくずれたものであると言わねばならない。国民を代表する立法機関のあり方として、猛省をする必要があるであろう。
改めて確認すべきことでもない自明の真理であるが、まず、法律は国民のものである。そして、立法に携わる議員は国民に奉仕するものである。さらに、立法過程は広く国民に開かれたもの、透明性のあるべきものである。これをはき違えてはならない。
2 次に、この度の改正案の大きな欠陥として、実験動物/動物実験について一切手を加えない内容となっている点を挙げなければならない。この件は多くの国民の関心事項であり、長年の懸案事項であると同時に、欧米諸国から大きく立ち後れているところである。
即ち、動物実験に関して、日本を除く先進諸国では、実験者や実験施設、実験計画の免許制や許可制を採用している国が一般的である。しかし日本では、これらの制度がないために、動物愛護管理法41条で動物実験の3R原則(苦痛軽減、数の削減、代替法)が規定されていても実効性に極めて乏しく、実質的には無規制に近く、違法行為が黙過されている。実際に行われている動物実験の中には、動物愛護管理法44条1項乃至3項違反の各犯罪を構成する行為も少なくないものと思われるが、動物実験については、行政による実態把握さえされない状況にある。
日本も加盟するOIE(国際獣疫事務局・世界動物保健機関)は2010年の規約の中で、実験動物福祉条項を制定し、担当官庁による監督の枠組みとして、民間人を含む委員会、実験計画の審査、施設検査、動物実験規程の点検等を勧告しており、動物実験の法的管理は世界の流れである。
国際基準を満たすレベルの動物実験に対する法的管理の導入、欧州指令にも謳われる3Rの積極的推進、それによる社会的信頼の回復への切望は、実験を行っている現場の心ある研究者自身が願うところであり、科学の進歩と何ら矛盾しない。(動物実験を減らしていくためには、動物実験代替法(技術)の普及に向けて積極的に国が関与し、動物実験代替法関連団体及び事業、大学における研究等を財政面で支援すべきである。)
犬・猫などの「愛護動物」が実験動物取扱業者、動物実験施設設置者に渡された瞬間、「実験動物」として扱われ、何ら保護されないとなれば生命に対する二重基準を認容することになり、国民の間における生命倫理の後退もしくは崩壊を招くのでは懸念される。従って、犬・猫などの「愛護動物」が「実験動物」に存在態様が変わった場合においても何らかの保護規定が必要である。
動物の救護、適正飼養等の啓発及び国民の間における生命倫理の向上を図ることを目的とし、非営利活動を行う動物愛護団体が第二種動物取扱業として届出等の規制を受けることとなったが、実験動物取扱業者、動物実験施設設置者が規制から除外されるのは偏頗的な判断と言わざるを得ない。
実験動物取扱業者、動物実験施設設置者等業者の存在を数値で把握できるようにし、動物たちが経済の発展に寄与し、このことが産業統計面で国民が実態を知ることができるようにすべきである。また、実験動物取扱業者、動物実験施設設置者は、多数の動物を繁殖・飼育し、その上で経済的利益等の利益を得ているのであるから、第二種動物取扱業ではなく第一種動物取扱業とされるべきである。
なお、パブリックコメントにおいては、動物実験についての情報公開、または何らかの規制を求める意見が24,286件に上った。これに対して現状維持を支持する意見は834件であった。また動物実験の実態把握、実験動物の福祉項目を含む動物愛護法改正署名は、複数の団体で、合計10数万名分が集まり、国会等へ提出されている。
こうした民意を受けとめることなく規制の要請を無視し続けるならば、実験者の社会的信頼は失墜したままであろうし、日本は国際社会から孤立し、文明度の低い国家との評価を受けることになるであろう。
3 動物取扱業者の中で、犬猫等販売業に関して多くの特例を新たに創設したこと、特に、販売が困難になった犬猫等の終生飼養の確保(22条の4)、飼養する犬猫等の適正飼養のための獣医師等との連携の確保(22条の3)、犬猫等の販売を行う際の現物確認・対面説明の義務付け(21条の4)の規定を創設したことについては、一定の評価に値する。
また、出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡・展示の禁止が盛り込まれたこと(22条の5)は、マスコミ等においても報道されているところである。しかし、法案の内容を見ると、施行後3年間は45日とし、その後別に法律で定める日までの間は49日と読み替えることとされており(付則7条)、56日規制が実施されるのがいつになるか全く不明であり、逆に3年を大幅に超える期間は、実施されないことが明確となっている。このような内容では、何らの改正もなされていないことと大差がない。
欧米では動物行動学・動物生態学研究に基づく科学的知見により8週齢、いや60日等の具体的数値が法令により制定されているのに、なぜ、今改めて週齢に関する調査研究を、この日本で別個に行わねばならないのか。日本の動物は特殊であって、欧米の動物と生態や行動を異にするとでも言いたいのか。甚だ疑問である。こうした法案を作った議員は、国民に明瞭な説明をする責任があろう。
百歩譲って、日本の動物が特殊であったとしても、一般社団法人日本小動物獣医師会が昨年12月に行った「動物愛護管理法改正に関連する幼齢動物の取扱についてのアンケート」の結果をひもとけば(これは日常診察に当たる獣医師の現場での知見が集成されたものであり、実証性が高いデータである)、この中で「56日以上」とする回答は回答者761人のうち、81.3%に上っているのだ。
以上のように「56日」規制には合理的な根拠があり、早期に「56日」規制を実現しなければならない。また、猶予期間は半年で十分のはずである。3年もの猶予を設定することにより、施行が先延ばしになり、その結果、利を得るのは誰なのか、よくよく考えねばならない。
つまり、法案の「「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律を定める日までの間は「49日」と読み替える。」の部分を、「「56日」について、施行後半年間は猶予期間とし、半年の経過後は改正法を施行することにする。」とすべきである。
なお、パブリックコメントにおいては、8週齢(56日)未満の犬猫の販売禁止を求める意見は43,295件に上り、最多であった。この国民の意向を無視することができるなら、パブリックコメントという制度自体の意味を問い直さねばならない。民意を反映させるつもりがないなら、まやかしは最初から行わなければよい。
4 現在、毎日多数の犬や猫たちが明確な法的根拠もなく、「殺処分」という名目で、炭酸ガスによる窒息という苦痛を伴う方法により、行政の手で殺害される状態が続いている。命・感情ある動物の日常的殺処分、その方法に対する国民の嘆き・憤りは計り知れないほど大きい。しかしながら、この度の改正案では、これを改めるための内実のある改正点が見られない。改正案の35条4項において、都道府県知事等が引き取った犬又は猫の返還及び譲渡に関する努力義務規定が設けられたりもしているが、この規定は飽くまでも努力義務規定であり、法的拘束力に乏しい。また同条項においては、無造作に「殺処分がなくなることを目指して」などという文言が取り入れられているが、殺処分の現状を安易に追認するような内容となっている。また、殺処分の要件や実施方法に関する法律の規定がないことにも思い至っていない。
5 この度の改正案には、災害対応についての規定が設けられたが、それは、都道府県が策定する動物愛護管理推進計画において定めることとされている(6条1項3号)。しかし、この規定は、災害対策基本法や原子力災害対策特別措置法との関係が不明確であり、実際に災害が発生したときにどの程度の実効性があるのか、極めて疑問である。33.11とそれに続く原発事故による経験を経た今、人と動物との「同伴避難」が必ず保障されるべき法案を期待していたが、それについては触れられていない。
現在、「地域防災計画」に災害時における動物の保護規定を盛り込んでいる自治体は少なくないが、内容は避難先での環境衛生の維持を目的とした管理、指導とするものがほとんどである。災害時に必要なのは住民と飼養動物の同行避難であり、事後おける保護活動である。
福島原発事故から1年半近く経過したが、早期に本格的な保護活動が行われなかったことから、現在も動物たちは人の管理から放れ、増殖している。
このような事態を回避するためには、災害時において住民が飼養動物と同行避難でき、避難先でも適正に飼養管理できるようにし、その後においては可能な限り保護することが必要である。
改正案にあるように「動物愛護管理推進計画」に、災害時における動物の保護規定を盛り込むことは当然であるが十分ではない。
「動物愛護管理推進計画」はプロパー職員の活動指針であるので、一般職員に広範に周知されるものではない。一般行政職員及び災害時に活動する民間団体にも広範に周知される「地域防災計画」に動物の保護規定が盛り込まれることで実効性が高まると考えられる。
なお、パブリックコメントにおいては、災害時対策を推進すべきとする意見が24,298件に上った。
6 この度の改正案では、動物の虐待に関し、獣医師による通報努力義務規定が設けられたり、罰則の強化がなされたりしているが、虐待を受けた動物の保護に関する規定が欠けている。虐待を受けた動物の保護・収容・医療の義務を明記すべきである。
7 第二種動物取扱業の創設について。
実験動物繁殖施設や実験動物収容施設や動物を扱う大学・研究機関、行政のセンター・保健所等飼養施設に届出義務がないのに、なぜ、動物保護を行い殺処分頭数を減らすため日夜活動する動物保護団体に都道府県への届出を義務づけるのか。動物保護団体を第二種動物取扱業とするなら、上記の実験動物飼養施設等は、当然、第一種動物取扱業として管理すべきである。
8 総則第一条(目的)には、動物の虐待及び遺棄の防止だけでなく、「飼い主不明の猫の繁殖」防止も掲げて、野良猫の頭数管理をも盛り込むべきである。殺処分される犬猫のうち、その多数が子猫であり、その中には多数の野良猫の産んだ子猫が含まれている。このようなことに鑑みれば、野良猫の繁殖防止を明記すべきである。(飼い主のいる猫に関しては、第37条第1項に規定があるが、努力義務に過ぎないので、これも実効性がない。)
9 虐待の定義が若干具体的に明記されているが、「健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること」では、実際に衰弱しなければ取り締まれないことになる。例えば、真夏に、一切日陰のない場所に置かれた、あるいは真冬に雨風雪から身を守る屋根も覆いも小屋もない所につながれた犬、馬、家畜がいても、その飼い主を訴えることは「衰弱」が明らかでない限りは困難である。「5つの自由」には飢えや渇き、寒さ、暑さからの自由や、習性に合った飼育スペースの確保、恐怖や苦痛からの自由も含まれている。産業動物の輸送時の福祉も含め、国際基準である産業動物の「5つの自由」を盛り込む事ができるのはいつなのか。
10 自治体の犬・猫収容施設は財政的な理由から劣悪な環境である所が少なくない。特に動物行政の拠点(本所)施設を除いた、出張所・支所等出先機関の収容施設では一日中光が射し込まず、夏には高温が常態化し、寒冷地の冬には糞尿も凍るような施設もある。わが国で一番劣悪な飼育環境は、自治体の出先機関で運営されている犬・猫収容施設といっても過言ではない。
動物の愛護管理について国民に対して指導、監督する立場にある行政の収容施設が法令・基準に抵触していいわけはない。
なお、パブリックコメントにおいては、自治体等の収容施設について「収容施設の基準」「殺処分の方法」等について規制を強化、または現行運用を変更すべきとする意見が25,441件に上った。
*****************
以上のように、この度の改正案には、いくつもの問題点があると同時に、実効性のある改正と評価できる点に乏しいと思われます。
今後、本件については、今後は環境委員会及び本会議に進んでいくものでありますが、国民の関心・期待に応えるためにも、これまで明らかにされなかった改正検討経緯を明らかにし、より内容のある、より実効性のある、国民の声にきちんと応えた改正作業がなされるよう、ご尽力下さいますようお願い申し上げます。