「動物取扱業の適正化について(案)」に対するパブリックコメントの募集が終了しました。
それに対し、事務局に寄せられた参加団体からのご意見をいくつかご紹介いたします。
まず、動物愛護管理法の目的は、動物愛護の気風の招来、生命尊重、友愛等の情操の涵養であります。この狭い地球上に生きるのは人間だけではありません。生命そのもの、豊かな感情を持つ愛護動物の「繁殖、保管、流通、販売、貸し出し、訓練、展示」等を取り扱う動物取扱業においては、仕事のあらゆる過程に置いて、この生命への最大限の尊重がみられなくてはなりません。そのためには、動物福祉の国際的な原則(飢えと渇き、不快、痛み・傷害・病気、恐怖・抑圧、正常な行動ができない状態からの解放=5つの自由)に則り、あくまでも人間でなく動物の立場から、業のありかたを管理し、問題があれば動物を救出でき、悪質業者の駆逐を通じてペット業界を健全化させていかれる法体制が必要です。今求められているのは、こうした効力を持つ法律です。多くの心ある国民は真に実効力のある法律こそを待ち望んでいるのです。
以下、各論に関して意見を述べさせて頂きます。
(1)深夜の生体展示規制
●L.24「深夜の生体展示規制」
意見:L.24に追記し、「深夜の生体展示規制及び長時間の展示規制」とする。
理由:深夜だけでなく日中の生体展示についても数値を明確にし規制すべきであることを明らかにするため。
●L.38「展示時間や時間帯等の具体的数値を掲げることが望ましい」
意見:賛成。
「連続展示に関しては8時間として休憩時間(1回2時間)を2回はさむものとする。
さらに、現場責任者が展示時間の遵守を管理し記録を残すことを義務とする。」を追記して頂きたい。
理由:展示時間・休憩時間について好ましい具体的数値が獣医学博士、増田宏司氏(東京農業大学 農学部バイオセラピー学科 伴侶動物学研究室 講師:参考資料A=日本動物虐待防止協会作成=参照)により提示されている通り、展示時間を1回連続1時間、休憩時間を1回2時間とし、1日あたりの(休憩時間を含めた)合計展示時間を8時間までとするのが望ましい、との記述に従う。
●L.39「明確な根拠を持たずに情緒的に決めることへの疑念もある。しかしながら」
意見:L.39「が、明確な根拠を持たずに情緒的に決めることへの疑念もある。しかしながら」を削除する。
理由:実際に欧米では明確な数値をもって規制されており、採用されている数値は、専門家による研究結果に基づく科学的な見解により導き出されたものといえる。法律のなかで具体的数値の提示がなければ、それこそ「情緒的に」現場の業者の保護あるいは現状維持のために判断されてしまい、動物の福祉を守る効力を持つことはできない。
●L.40~「20 時以降の生体展示は禁止すべきである」
意見:賛成。
理由:動物の生態・生理に配慮すれば、深夜展示については禁止するしかない。深夜展示では犬や猫の幼齢動物が多く展示される。親兄弟から早期に離され、真夜中に煌々とライトを照らされて陳列されること、不適切な生活サイクルを強要されることにより、成長期の動物が被るストレスは甚大である。
また、本来、命ある動物の飼育は飼い主側の心構えと勉強、十分な受け入れ態勢を要するものである。これに相反する「衝動買い」を促すような深夜展示は、動物愛護法になじまず一切禁止すべきである。
●L.35~L.37「規制の対象となる動物の分類群については、現状の動物取扱業の対象である哺乳類、鳥類、爬虫類までとすることも考えられるが、取り締まり等の実効性を考慮すると犬や猫に絞るべきという意見もある。」
意見:この文の後半の「ことも考えられるが、取り締まり等の実効性を考慮すると犬や猫に絞るべきという意見もある」を削除する。
理由:全ての愛護動物を規制の対象とすべきである。犬や猫以外でも同じ命である。動物本来の生活リズムに合わない不適切な展示を強いられることや、「衝動買い」の危険性については、犬や猫に限られたものではない。
(2)移動販売
●L.55「何らかの規制が必要である」
意見:これを削除し、「この販売方法を取り入れるべきでない」とする。
理由:そもそも移動販売自体を禁止すべきである。なぜならば、ペット販売業者が、動物取扱業の登録を受けた事業所以外の場所で動物を販売することは、動物の「移動」を前提にするものだからである。移動時や移動販売先の空調設備が不十分であること、移動販売先の地域における感染症蔓延の可能性等、場合によっては動物の健康と安全に支障をきたすおそれが高い販売方法であることは小委員会でも指摘されている通りであるが、「移動」そのものが動物に与えるストレスは甚大である。動物は(犬の場合は散歩コースも含めて)住み慣れた生活環境と、決まって世話をしてくれる人の存在により、精神的にも安定するものである。馴染んだ人や場所から離れて、どこに連れていかれるかもわからぬまま、町から町へと業者の都合で移動させられることが動物にとっていかに過酷であるか。(販売業のみならず貸し出し業、展示業にも同様のことが言える。)
移動中の温度や湿度や騒音等の問題、不十分な給餌・給水や排泄の始末、行き届かぬ清掃、不十分な医療行為など、問題は山積している。
●L.56~L.58「規制の方法については、トレーサビリティ、アフターケア、感染症の問題等が担保できることが必要であり、告示やガイドライン等で動物の移送や保管の際に守るべき基準を具体的に示すことが考えられる。」
意見:削除する。
理由:果たして告示やガイドラインで守るべき基準を示せば、問題は解決するのであろうか?動物の福祉という観点からすれば、「移動販売」そのものをなくしていかねばならないはずだ。全国規模の移動販売は地域により管理者が異なる場合があり、トレーサビリティ、アフターケア、感染症の問題等が担保できる可能性は極めて低い。これでは購入者に不利益が容易に生じうる。消費者を守るためにも断じてずさんな「生体移動販売」を許すべきでない。
(3)対面販売・対面説明・現物確認の義務化
●L.68~L.70「確認が困難な事例が多いことから、その確認ができる制度が必要である。また、これを遵守させるための監視方法についても検討する必要がある。」
意見:この部分を削除し、「確認が困難な事例が多い。対面販売・対面説明・現物確認ができない可能性が少しでもある販売は一切行うべきでない。」とする。
理由:インターネットで現物を確認せずに動物を購入した結果、月齢の進んだ動物が届けられたり、動物が病気ですぐに死んでしまったというケースが頻発している。過酷な環境での輸送も問題だ。改正後、新たに設けられた遵守基準等を満たすことができないインターネット等での販売方法は許されるはずのないものである。
(4)犬猫オークション市場(せり市)
●L.74~L.83「現在、販売されている犬猫は、一定の割合でオークション市場での取引を経由していることから、これを動物取扱業の中に含めて基準の設定や監視する仕組みの構築が必要である。具体的には、オークション市場に参加するペット関連業者が動物取扱業の登録業者であるかどうかの確認ができる仕組みや、市場の情報公開などにより透明性を確保することが必要である。
また、遺伝的な疾患は必ずしも幼齢時に確認できるものとは限らず、一定程度成長した後に発症する場合があることから、動物取扱業全体としてトレーサビリティーの確保は重要であり、特にオークション市場ではこれの確保に対するより一層の取組が必要である。
意見:すべて削除し「犬猫オークション市場に関しては全廃すべきである。」とする。
理由:命ある動物をせりにかけることは許されない。ワクチン接種前の子犬・子猫を母から離し、温度・日照等の不適切な環境下で輸送し、感染症に罹患させる危険もあるせり市に連れていき、かけがえのない命に対して値段を付けるという行程そのものが、動物愛護法の「生命尊重」の目的に反するものである。購入を考えているのなら、直接ブリーダーのもとに出向いて交渉すればよい。市場に連れて行き、店舗に陳列し、値をつけ、生体を求める人に販売するという行為そのものが本来なら廃止されるべきである。
ブリーダーのもとでの直接交渉により、動物の飼育環境やフードの種類、親や兄弟の確認もでき、トレーサビリティの確保も保障される。また、飼養施設の第三者による監視にもなる。動物の福祉という観点からも、消費者の保護という観点からも、せり市はなくしていかねばならない。
(5)犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢
●L.98~L.102「具体的日齢については、ペット事業者の団体が目指している45日齢、科学的根拠のある7週齢、海外に規制事例のある8週齢に意見が分かれている。」
意見:これを削除し「具体的日齢については海外に規制事例のある8週齢(56日齢)または60日齢、できれば概ね3ヶ月以上とする。」とする。
理由:一定の日齢に達していない幼齢の犬猫を親兄弟から引き離すと、適切な社会化がなされず、成長後に様々な問題を生じることがわかってきた。犬であれば咬み癖や吠え癖、猫であれば噛み癖や爪の出し方加減に問題行動を引き起こす。また、新しい環境への適応力も習得力も鈍る。
35日〜45日は、母体からの免疫移行減少期間により、その間の流通は、死に至るウィルスにさらされる感染による危険性が科学的に証明されており、不適切である。
親兄弟から子犬や子猫を引き離す理想的な時期として、ドイツでは生後8週齢(56 日齢)以降とされているし、イタリアでは生後60日未満の犬の流通・販売等が禁止されている。こうした科学的知見や海外における規制の現状を踏まえ、親子を引き離すのは少なくとも56日齢から、実際に飼い主のもとへ譲渡されるのは60日齢より大きくなってから、としたい。あるいは犬の場合、社会化期における親兄弟とのふれあいの重要性を鑑みて、親子分離は概ね3ヶ月以上、と幅を持たせたいものだ。但し、幼少時にお見合い→売買契約→実際のお渡しは生後3ヶ月以上、でもよいとする。
●L.103~L.105「規制の手法~意見もあった」
意見:これを削除する。
理由:事業者による自主規制には期待できないから。規制の手法については、強制力のあるものにすべきである。
(6)犬猫の繁殖制限措置
●L.110~L.117「いわゆるパピーミルと呼ばれる、大量繁殖施設において高い頻度で繁殖させられていたと考えられる犬が遺棄された事例が確認されている。これらの繁殖犬については母体への負担や健康面への悪影響が確認されている。これまで様々な犬種を作り出してきた実績のあるイギリスやドイツにおいては、最初の繁殖年齢の設定や、生涯における繁殖回数を5~6回までに制限するよう規定されており、これらの国々の取り組みを参考として、繁殖を業とする事業者に対して、繁殖回数及び繁殖間隔について規制を導入すべきである。なお、猫の繁殖制限についても、同様に検討すべきである。」
意見:方向性については賛成する。また、続くL.108~L.120「一方で、犬と猫の違いや、品種の違いによっても適切な繁殖の時期や頻度が異なるため、一律の規制が困難であることから、事業者による自主規制に任せるべきであるとの意見もある。」を削除したうえで、「わが国では、最初の繁殖年齢として1歳以上を設定し、生涯における繁殖回数を5~6回までに制限し、年に2回以上の出産を不可とする。また、形成不全のような遺伝病や欠陥を持った動物が繁殖されることのないよう(苦しむために生まれてくることを阻止できるよう)、繁殖用雄と繁殖用雌はそれぞれ獣医師の診断を受け、獣医師の同意を得た上で、交配させなければならないとするべきだ。
更には、繁殖用の動物にはすべてにマイクロチップを入れ、トレーサビリティの確保をはかり、繁殖動物としての使命が終わったあとも、処分あるいは遺棄されることなく、動物福祉に配慮した環境で終生飼養されることが法令により保障されなければならない。そのためにも、年に最低2回の行政動物担当職員による抜き打ち調査及び違反時の登録取り消し、氏名の公開を義務づけ、取り消された業者が他県で起業をすることを阻止できるよう条文に盛り込むこととする」を追記する。
理由:繁殖を業とする事業者に対し、繁殖回数及び繁殖間隔については明確に規制を導入すべきである。また、繁殖用に使われて産めなくった高齢動物が、センターに持ち込まれたり捨てられたりするケースが多い。これを解決するには、特定動物と同様、繁殖動物への固体識別(マイクロチップ)による登録及びトレーサビリティの確保しかない。
繁殖動物の福祉向上は多くの国民の願いとするところである。例えば、捨てられて放浪していたところを運よく保護されたある犬は、狭いケージに終生入れられていたためか、無表情・無感情であり散歩の経験がないため連れ出しても歩こうとしない。そうした繁殖動物を救い出せる立法を今こそ求めたい。業者任せの自主規制であってはいつまでたっても改善が望めない。
(7)飼養施設の適正化
●L.130~L.135「法規制でなくガイドライン等の策定により、地方公共団体が改善指導できるような仕組みとすべき。数値化にあたっては、対応が困難な高い目標設定でなく、最低限許容する数値を設定すると同時に、推奨される数値も必要。飼養ケージや檻のサイズについては、動物種や品種によって体の大きさや習性も大きく異なるので、一律の数値基準の設定は困難。」
意見:ガイドラインなど定めても、誰も守らない。地方公共団体による改善指導に法規制が必須であることは明らかである。
海外の法律では動物の体重や体長に合わせてケージのサイズが設定されているのに、なぜわが国ではできないのか。数値基準の設定は「困難」なのではなく、人間の側に数値基準への意欲があるか否かで実現の可否が決まる。
公募の委員も含めた第三者有識者会議(実際に動物の側に立って思考し発言できるような、現場を知る民間ボランティアをこの会議に含めねばならない)の検討に委ね、海外の基準(参考資料B)を参考にしながら、施設の大きさや採光、空調、ケージのサイズ(タテ、ヨコ、高さ)、1頭あたりのスペース、守るべき温度(15~21度)、湿度、臭気の程度(例:臭気判定士による定期的なチェック)、世話をする人間が担当できる動物の頭数の上限(例:10匹まで)等を明確に数値化していく必要がある。
繰り返すが、法規制がなければ誰も守らない。
*例えば下の写真の犬たちを助け出せるだけの具体的な数字の基準を求めたい。私たちは、この繁殖現場に行っても「これは違法である」と訴えることができない。行政職員や警察も明確な数値がなければ違法性を判断するのが困難である。行政に通報しても解決されないどころか逆に動物処分に動かれてしまう恐れがある。「午後に来る愛護団体がうるさいから頭数を減らしたほうがいい」などと言われ、管理はおろか登録取消しなど夢のまた夢だ。
* * *
(写真、掲載を控えています)
狭いケージに入れられたまま 暗がりで明かりはあまり入らず ただ詰め込まれている状態(但し身動きはできる)
合法か違法か、ギリギリのラインに置かれた繁殖現場の動物たち。具体的な数字の基準がないので踏み込めない。
○センチのケージなら動物愛護法に違反なのか、世話をする人間ひとりにつき動物何匹までの飼育が許されるのか、1日に散歩は何回か、といった具体的な数値の設定がなければ、私たちは無力である。
(8)動物取扱業の業種追加の検討
①動物の死体火葬・埋葬業者
意見:業者に含めず別の規制にしたほうがよい。
理由:動物愛護法では生きている動物を対象にすべきであり、亡くなった動物を扱う死体火葬・埋葬業者は対象にしなくてもよいと思われる。しかし、動物の死体の取扱いについて法律に混乱があるのは確かである。
また、動物への虐待行為がやがて人への暴力・犯罪行為に発展していくといった密接な関係性が研究により明らかになってきた。動物虐待を見逃さないことで地域の犯罪を未然に防ぐこともできる。動物の死体に異常な傷や薬物摂取の跡があるなど、動物虐待が疑われる場合には、死体火葬・埋葬業者のみならずすべての発見者は地域警察と行政担当窓口に通報しなければならないと明記すべきである。
②両生類・魚類販売業者
意見:動物取扱業に含める。
理由:両生類や魚類も爬虫類や哺乳類と同じ脊椎動物であり、命あるものとして同等の価値がある。水量や水温、淡水・海水の別、エサなど飼育には知識が必要であり販売時には購入者への説明が要る。現に、西欧の法令では両生類や魚類ばかりでなく、無脊椎動物も含めた扱いをしている例もある。(例:氷の上に生ロブスターを置いてはならないとするイタリア)
また、生物多様性保全の観点からも、これを業に含め取り締まることが期待される。
③老犬・老猫ホーム
意見:動物取扱業に含める。
理由:飼い主から委託された動物を預かり保管し飼養することで金品を得る点において業であるといえる。ホームの運営者によっては、飼い主に無断で遺棄あるいは転売する、飼養放棄をすることなども十分考えられるので、これを業に含めて動物福祉の資質を管理し取り締まるべきである。
④動物の愛護を目的とする団体
⑤教育・公益目的の団体
意見:以上、2種の団体については動物取扱業者に含めるのでなく別の規制を作るべきである。
理由:業の概念を満たす「3つの基準」として「営利・社会性・反復」を提示している。「儲けを追求し、不特定多数を相手に、いつも行う」のが「業」、すなわちビジネスである。ひとつでも抜ければビジネスとして成り立たない。
上記の2団体は営利団体でなく、動物の福祉を目指した団体ないしはある程度動物の福祉を考慮した動物の取扱が期待できる団体である。「団体数が多くなったから規制」し負担(条件)を強いるでは、憲法で守られている結社の自由を侵害する疑いが起こる。「業としての行為」「業として行為する団体」を規制するのが正しい。
小委員会では次のように発言している議員がいた。
「…動物愛護団体に関しては、保管状態はともかくとして、それをほかの部分でもカバーできると思います。譲渡ということをやっているわけで、それは多くの場合、やはり有償になると思うのです。実費といっても1万円とか2万円とかかなりの額でということは、次の飼い主の渡すというところの責任をかなり重大に考える必要があるので、それは販売に近い状態といってもいいかもしれない。業という言葉を使うことを愛護団体の皆さんは受け入れにくいかもしれないんですけれども、それも含めて、やはり業に近い形で入れていった方がいいかなとは思います。」
1万円、2万円のかなりの額、とおっしゃるが、私たちが保護した犬猫の医療費はどれだけにのぼるかご存知だろうか。里親譲渡までに、平均してノミダニ駆除1500円、回虫駆除1回800円(数回必要)、ワクチン代3000円、不妊手術代2~3万円(メス1万円、オス5000円、の特別料金で施術して下さる病院も都市部では出てきたが、地方では2~3万円はかかる)、血液検査4500円(エイズ・白血病)、これで済めばよいが、真菌や疥癬、コクシジウム、パルボなど、病気にかかった状態で保護された動物には、数ヶ月にわたって高額な医療をかけてから譲渡にこぎつける。
この実費の一部として、領収証の掲示とともに医療費を頂き、次の保護犬猫のために使わせて頂くことは、お見合いや譲渡時の説明のなかで里親様も了解されたことである。これを「愛護団体も有償譲渡をやつている。責任もあるのだから、業に加えるべき」というのはおかしな話だ。
不妊・去勢処置、ワクチン、検診などの費用負担を譲受人に求めている団体はあっても、それは実費充当であり、ほとんど持ち出しのほうが多い。多くの場合、無償譲渡を強いられるのが現実だからだ。利益を前提に譲渡活動している団体は真の愛護団体でなく業であり、こうしたごくわずかの例外的存在をもって、全国で動物取扱業者や不良飼い主の後始末に奔走する民間動物愛護団体の規制を図ろうとするのは筋が違うとしか言いようがない。
但し、ある一定の基準を満たした動物愛護団体は、業に含めて規制するのではなくこれを届出制にして、リストに基づき行政や警察との協働・連携態勢を構築することとしたい。例えばその経験や知識の活用を通じ、地域猫の管理や町内会との話し合い、業者施設の査察同行、第三者委員会結成、緊急災害時対応に関し、現場をよく知る動物愛護団体が何らかの役割を担い、社会的に認知されていくようになれば、動物愛護の気運も高まるのではないかと思われる。
追記
意見:以上のほか、次の団体を動物取扱業に含めて規制するべきである。
⑥試験研究用及び生物学的製剤の製造の用に供するために実験動物の調達、飼養または保管を行う業者及び団体
⑦動物実験を行う業者及び団体(研究機関、教育機関、医療機関、製薬会社等)
理由:命あることに変わりない実験動物の福祉を守るための法令は存在しない。現存するのは環境省の「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」、文部科学省の「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」、厚生労働省の「厚生労働省における動物実験等の実施に関する基本指針」、農林水産省の「農林水産省の所管する研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」である。さらに日本学術会議も「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」を公表している。しかしこれらの基準、基本指針はあくまでも努力義務であって、法としての規制ではない。行政に対する報告義務も、逆に行政の調査権限もない。現に、なんらの規制もない状態のまま、悲惨な飼育及び生体実験が行われ、危険な動物実験の内容が周辺住民にまったく明らかにされていないという現状がある。
例えば、産業技術総合研究所つくばセンターでは、内部告発により、ずさんな管理体制の下、動物実験施設から遺伝子組み換えマウスが逃げ出した可能性もあることが明らかにされた。雌雄を別にせず水も与えず、乱繁殖したラットは寿司詰めとなり、空の水の容器から脱走し室内を駆け回っていたという。飼育員が間引きをした死骸が重ねられ、それを処理する清掃作業員には遺伝子組み換え動物であることや取扱いに注意を要すること、危険性等も何ら説明されなかったという。これは動物福祉や法令違反の問題を超え、労働者の人権に関わる問題でもある。研究や業績の前には人命軽視もよしとされるのか。表示義務を怠りカルタヘナ法に違反していたことも経済産業省が認めている(参考:添付資料C)。さすがに731部隊を保有していた国家だけのことはある。
このように、法としての規制が一切ない野放しのままで、業者や動物実験団体の手に命ある動物が委ねられている現状は異常であり、わが国の動物の生命軽視の温床になっている。
当時、国会で谷博之議員が「遺伝子組換え生物のずさんな管理は、周辺の生態系に甚大な影響を与えるばかりか、近隣の住民にも深刻な不安を呼ぶ。多大な国費を投入しての先進的な生命科学分野での研究推進に国民的理解を得るためには、政府関係機関が法令を遵守することは必須であり、さらに法令の理念を踏まえた情報公開が必要である」と述べているように、これらの業者及び団体を動物取扱業者として含め、国民の監視のもと、法規制を行うことは必須であると思われる。
⑧毛皮・皮革加工業者等に提供するために動物を調達・飼養または保管する業者及び団体
理由:バッグやマフラー、衣類、靴、ベルト、キーホルダーなどに使用する毛皮がどこから調達されているか不明である。輸入、保健所やセンターで処分された犬猫を業者が引き取るとの話も聞くが、実際のところ生きた犬猫ウサギを毛皮・皮革の取得のために飼育する者もあるという。また、日本の伝統芸能に使用される三味線は、おもに猫の皮を使用するが、これをどこから調達するかは闇の中である(飼い猫、あるいは人慣なれした地域猫が犠牲になることが多いとも聞く)。日本にも毛皮農場があるとの情報もインターネットに流れている。不明だからといって法規制がないと、この業界の規制ができないこととなる。闇の業者を野放しにしてはならない。毛皮農場に関して、ほとんど法規制がなされていないという現状を踏まえ、行政はこの生業の実態を調査・把握した上で国民に公表する必要があり、これを動物取扱業に含めて規制すべきである。
(9)関連法令違反時の扱い(登録拒否等の再検討)
意見:賛成
理由:第19条第1項5号の「この法律もしくはこの法律に基づく命令またはこの法律に基づく処分に違反したとき」とあるのを「この法律」だけではなく、次の法律も含めるべきである。
鳥獣保護法、化製場法、外為法、狂犬病予防法、種の保存法、ワシントン条約、カルタヘナ条約、特定外来生物法、感染症予防法
(10)登録取消の運用の強化
●L.218~L.221「現行法でも、違反すれば動物取扱業の取消しが可能な条文となっているが、違反業者の登録の取消しについて、より迅速に発動しやすくなるよう細目の書きぶりに具体性を持たせることや、虐待の判断について獣医師等の専門家に助言を求める体制確保など、運用面の工夫が必要である。」
意見:方向としては賛成である。
理由:より具体的には、第23条1項「都道府県知事は…その取り扱う動物の管理の方法等を改善すべきことを勧告することができる」を「改善すべきことを勧告し、遅くとも2週間以内には改善されたかどうかの確認をしなければならない。」とする。
また、第23条第3項「勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、遅くとも2週間以内には、その勧告に係る措置をとるべきことを命じなければならない。」と具体的に期限を明記するべきである。
第24条第3項「立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」とあり、あくまで行政法が遵守されているか否かが問題にされるようであるが、違法性が発覚すれば警察を呼ぶこともでき、刑事罰につなげうることも周知すべきである。
行政により指導を受けても改善が見られないなどの悪質な業者には登録取消を行うべきである。現場での判断に行政担当者の迷いが生じないよう、全国的に一律の「動物愛護法に基づく動物取扱業点検項目」を定め、査察・指導は行政の職員のみで行わず、利害関係のない第三者(経営ではなく動物の福祉を優先して考えられる動物愛護団体関係者が望ましい)を査察に同行させ、厳正に判断させるのがよい。
また、何が虐待であるかの定義づけを明確にしなければならない。虐待が行われたないしは行われる可能性があることを認定する、あるいは虐待が行われた場合の動物の保護等を審議するための第三者委員会(獣医師、動物愛護推進員、市町村の動物愛護担当者、都道府県または政令指定都市の動物愛護担当者、警察官、民間団体の代表者、通報住民等を含む)を市町村ごとに設置できればよい。
そして、虐待を受けた、ないしは虐待を受けたと疑われる動物を発見した場合における当該動物の保護を迅速に行うことができる制度を設けるべきである。
現行法では、動物に対する虐待は、刑事罰の対象とはなっているが、動物に対する虐待の存在が認められたとしても、虐待を受けた動物を保護するための規定は何もない。むしろ、動物取扱業者には所有権があるから、虐待を受けた動物をみすみすそのままの状態に放置しなければならないこともあり得る。(児童虐待の場合は、児童相談所による一時保護、家裁の審判に基づく親子分離・施設入所という制度もある。)動物の愛護という観点からは、虐待を受けた動物を保護するための制度が必須である。
例えば、経営破綻したときの保証金制度を設け、保証金は外郭団体(先に挙げた第三者委員会)あるいは行政職員が管理することが考えられる。
(11)業種の適用除外(動物園・水族館)
意見:反対。
理由:細目や基準を遵守できていない動物展示施設も多いので、適用除外とすべきではない。
(12)動物取扱責任者研修の緩和(回数や動物園水族館・動物病院の扱い検討)
意見:反対。
理由:命を預かる動物取扱責任者の研修には緩和の必要がない。
(13)販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務項の緩和の検討)
意見:反対。
理由:犬猫以外の小動物も同じ命であり詳しい販売時の説明義務は必要。
(14)許可制の検討(登録制から許可制に強化する必要性の検討)
意見:賛成。
理由:動物取扱業においてはすべてを許可制とするべきである。登録制である現在、業において動物愛護法が遵守されているかどうかの把握がまったくできない。これを許可制にすれば、事業者の申請内容に基づき、担当者が直接事業所に出向いて動物の健康状態や飼育状況、衛生管理状況を現場で確認できる。そして、ある一定の基準を満たした業者だけに許可証を発行できる。動物取扱業登録更新を5年に1度ではなくせめて年に1度にすれば、あるいは定期的な抜き打ち検査を義務づければ、行政職員による記録台帳の確認や、飼養動物・施設の衛生管理の確認を通し、事業者自身による意識の向上が期待され、また環境の改善により販売動物の健康状態も改善されるであろう。それは健康な動物を入手できる可能性が高まることになり、ひいては消費者の保護に、そして社会全体の利益にもつながるものである。
また、動物愛護団体が運営する施設については、(犬について定めのある)化製場法に基づき、「犬の場合は50頭以上収容規模で常時10頭以上の在留が見込まれる施設、そして猫の場合は50頭以上収容規模で常時30頭以上の在留が見込まれる施設」にあてはまる場合に限り届出制として、動物福祉の向上に民間もともに努め、社会的に認知されるようにすべきである。
但し、施設への犬猫遺棄防止のため、動物愛護団体の住所地や個人名は市報などに公表しないものとするのがよい。
その他:以下のような点を考えるべきである。
*すべての動物取扱業者の保有する動物にはマイクロチップを入れる。
*犬猫については、毛皮・皮革・食肉の採取・動物実験を目的とした繁殖・販売・流通の一切を認めない。
*動物取扱業を国家試験にする。
コメントをお書きください
松田 由紀子 (日曜日, 16 10月 2011 18:08)
とても、いいことを述べられていて嬉しいです。
一番何よりも私が心配しているのは、動物実験業者や動物実験用の施設の登録制(許可制)が認められればとても嬉しいです。
いい方向に行くように祈ってます。
Edwin (日曜日, 22 7月 2012 05:02)
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