パブリックコメント②

「動物取扱業の適正化について(案)」に対するパブリックコメントの募集が終了しました。

それに対し、事務局に寄せられた参加団体からのご意見をいくつかご紹介いたします。

動物愛護法改正案に反対します

 

*改善すべき項目

  1. 指導・査察対象を動物取扱業者に限定する制度を廃止し、一般飼育者・獣医師・畜産関係者・狩猟者・研究者・行政官・民間殺処分執行者も含めすべての飼育者・取扱者を対象に「飼育(取扱)ライセンス制度」を導入すること。(脚註3を参照)

     
  2. 動物福祉に反する不正な行政行為を防止するため「行政監視制度」を導入すること。「行政監視制度」によって、残酷な殺処分方法を用いること、不正な行政殺処分を行うこと、救助すべき動物を放置すること、不正な査察・不正な行政処分を行うことを防止すること。(脚註3を参照)

     
  3. 行政による動物保護団体排除政策を改めること。殺処分に反対する動物保護団体を動物愛護法策定過程に加えること。

     
  4. 感染症対策・生物多様性対策などの殺処分政策を現行法から分離・廃止し、「殺処分行政」から「保護行政」に転換すること。

     
  5.  査察・取り締まりによって救助された動物・被災動物の行政保護義務を定めること。

     
  6. 善意の動物保護団体への本来負うべき行政義務を履行すること。保護養育費・保護施設整備費・医療費・登録料・狂犬病予防接種料などを行政が負担すること。

     
  7. 名称を「動物の愛護及び管理に関する法律」から「動物保護法」に改めること

 

*趣旨

 今法案には行政殺処分を廃止するための制度が盛り込まれていない。残酷な行政殺処分方法も放置したままである。これまで通り偽りの愛護法である。個々の項目を審議する前に全体の制度設計を正しく行わなければ殺処分はなくならない。査察・取り締まりが行われる際の救助された動物の行政保護義務にも触れられていない。査察の対象を決めたり増やしたりする前に、救助された動物を法律でどのように守るかを決めなければ救助自体ができないはずである。これでは査察制度自体が動物を助けるための制度なのか、殺処分するための制度なのか区別すらつかない。もっともいくら虐待動物の保護義務を定めても、肝心の殺処分制度自体が改善されていなくては、ところてん式にそのほかの動物が殺処分されるだけである。研究者が用いる残酷なエッグトラップ、行政が用いる絞殺罠、狩猟者による逆さ吊り罠、くくりわな、トラバサミ、捕獲罠の中で死なせるクリハラリス殺処分、獣医師や行政官による口蹄疫消毒薬殺処分、農家が用いる消毒薬殺処分、管理センターでの炭酸ガス殺処分、委託獣医師によるサクシン殺処分、こどもたちによる代行駆除、行政による餓死政策、すべての問題が放置されたままである。動物愛護法作成者は動物たちが置かれた悲惨な現実を認識して、原因に応じた対策を早急に導入すべきである。一般飼育者を含めた飼育者・取扱者全体の規制、行政監視制度の導入が急務である。

 

 規制の対象として今回もまた、最も多く虐待を繰り返している環境行政が無罪放免になっている代わりに、動物保護団体の監視制度が俎上に上っている。原因を作り出した行政・愛護法を放置して、その解決に苦労する人々を監視するとは極めて異常な法案である。私たちの動物保護施設「太郎の友」(旧:雲仙被災動物を救う会)では、行政殺処分から動物たちを守ることを目的に、現在犬約130頭、猫約50匹の保護養育を行っているが事前の意見聴取はなされなかった。極めて遺憾である。太郎の友で保護する動物はすべて一般飼育者の無責任な飼育によるものである。犬の場合、約30%が一般飼育者からの持ち込み、約20%が高齢の被災動物(一般飼育者が置き去りにした被災動物が、被災地で繁殖し野犬化したものを保護したもの)、約30%が遺棄されたもの、そのほか不良飼い主等から救助したもの、遺棄動物を保護した警察・動物愛護家・動物愛護団体などからの依頼である。猫の場合、動物愛護家が保護した遺棄動物が多い。飼育者死亡等を除けばすべて一般飼育者の放棄に辿り着く。それにもかかわらず今法案ではこれまで通り一般飼育者の規制がごっそりと抜け落ちている。いったいいつまで動物愛護法作成者たちは頬被りしているつもりなのだろうか?動物飼育を放棄する一般飼育者の脅し文句は次のものである。「身代金を支払わなければ子供を保健所で殺すぞ!」この法案が成立すると今度は保健所が次のように私たちを脅すはずである。「俺たちの残忍さと無責任さの後始末を、おまえがちゃんと果たしているか今から監視しに行ってやるぞ!」と。被災動物を捕まえては次々と殺害していった長崎県行政がいったい何を査察するのだろうか?今も殺害を繰り返している行政官が動物保護施設を訪れた時、その目に映るものはいったい何だろうか?人権意識に欠ける人々の法案とはこのようなものである。

 

 動物虐待の原因は行政による無責任な飼育者の放置であることは言うまでもない。従ってその解決には動物飼育者への動物飼育免許制度・ライセンス制度が必須である。

【脚註3「殺処分政策の廃止を求める請願」を参照】

 

 動物保護団体・愛護団体の取り扱いは実態に即して行われるべきであり、偽りの動物愛護団体には取り締まりとその施設からの動物の救助を、善意の愛護団体には支援と本来行政が負うべき負担が求められる。不正な査察・行政処分を防止するためには、動物保護団体が行政を監視する制度が必須である。動物福祉理念に欠ける行政官の一掃が求められる。救助された動物の行政保護義務の規定はあらゆる事柄に優先して定めなければならない事柄である。「飼育者」の選定に無駄な時間を費やす必要はない。愛護法作成者たちは査察対象から一般飼育者を除外していったいどのように殺処分をなくすつもりなのだろうか?おそらく「殺せば済む」と考えている愛護法作成者たちには、苦しんでいる動物を救い出す理由がないのだろう。

 

 厚生行政の分野である狂犬病予防対策、感染症対策などは、動物愛護法・動物福祉対策から分離することが求められる。動物愛護法が確認するのはあくまでも動物の生活環境・福祉状況である。同様に外来種根絶政策に代表される生物多様性政策も動物愛護法・動物福祉対策と完全に分離することが求められる。1998年動物保護法改正運動における動物運動団体提案の法案〈犬猫以外の動物種もすべて動物管理センターで殺処分できる法案〉【脚註1】、2005年民主党動物愛護・外来種対策ワーキングチームによって提案された同様の法案【脚註2】のような殺処分法案は動物愛護法に絶対に持ち込むべきではない。むしろ厚生行政・環境行政・農水行政における飼育動物・野生動物・家畜の大量殺処分政策は、犬猫の殺処分政策同様、動物愛護法に適切な制度を盛り込むことで無効にし、禁止を定めるべきである。犬猫の殺処分政策はライセンス制度の導入によって廃止を、家畜の感染症による大量殺処分は治療義務を課すことによって廃止を、生物多様性政策に基づく外来種大量殺処分は生物多様性政策そのものの廃止によって殺処分の廃止を実現することが求められる。動物愛護法の目的は、あらゆる苦痛と殺処分からの自由でなければならなかったはずである。

 

 これまで動物飼育者の把握は狂犬病予防対策を窓口として登録、予防接種の際に行われて来た。しかしながら登録料、予防接種料ともに高額である上にその金額設定の根拠も定かでなかった。なぜ保健所には多くの獣医師がいるのに高額の接種料を支払って民間獣医師が担当するのか?行政と獣医師会、製薬会社の癒着を疑わせるものがあった。この高額な登録料・接種料が足かせとなって都市部に比べて所得水準の低い地方では動物把握の窓口の機能を失っていた。現在幸いにも日本には狂犬病は発生していない。しかしながら狂犬病は危険であると行政官は語っているにもかかわらず動物輸入は野放しである。動物を本来の生活の場から引き離す動物輸入は動物福祉の観点から禁止すべきはずである。外国船から飼い犬が上陸するなど水際対策の不完全さも行政の怠慢を窺わせる。保健所・動物管理センターに収容される動物に至っては狂犬病予防接種さえ行っていない。このありさまにもかかわらず一般飼育者へは高額の負担と厳しい罰則が課せられている。ここでもまた原因を放置する自分たちの怠慢を棚に上げて、自分たちを治外法権にして、その付けを民衆と動物に押し付けている。厚生省・環境省は狂犬病予防対策の方法・費用とともに、一般飼育者・動物取扱業者による動物虐待を防止するための動物飼育の実態把握の方法を根本から見直すべきである。

 

 環境省はこれまで感染症対策による殺処分制度を〈自分たちが殺したい動物を殺すための方便〉として利用してきた。犬にあっては保護するのが面倒なので狂犬病予防対策と称して殺処分を推進してきた。外来種問題では邪魔者の殺処分を推進するために感染症の怖れを利用してきた。アライグマの回虫ではその発見に夥しい数のアライグマが殺処分されてきた。感染症対策は、人間の場合同様、動物の場合も殺すことである必要はまったくない。人畜共通感染症の危険を喧伝する者たちの本性は正に殺戮者なのである。

 

 動物虐待は感染症対策に発している。しかし感染症対策は動物虐待対策とは何の関係もない。本来関係がないものを関係付けることは、制度設計を誤らせ動物福祉の促進を阻むものに必ずなる。感染症対策と動物福祉を分離して考えることができない人、生物多様性政策・生態系保全対策と動物福祉を関係付ける人は、現在厚生省・環境省が推進する政策ー動物の大量虐殺ーを容認し推進する考えに至るはずである。「大量殺戮を推進する人は感染症対策と生物多様性政策を推進する」のである。感染症対策の理念と動物福祉理念は相反関係にあるため、動物福祉対策は感染症対策から修正を迫られる。そのため愛護法を大量殺処分を前提に形成する以外に方法がなくなる。今日の愛護法作成者が大量殺戮を前提に法律形成を行うのはこのためである。動物愛護法を健全に形成するためには、大量殺戮に奉仕する狂犬病予防法による殺処分政策、同じく大量殺戮に奉仕する生物多様性政策などを愛護法から分離して、またはこれらの大量殺戮政策を廃止して、動物を窮地に陥れるあらゆる事態を想定して、あるいはそれらを想定できない事態を想定して、動物福祉の観点から合理的であれば動物を窮地に陥れるあらゆる法令の適用除外を可能にする条文を明記して、動物愛護法を動物福祉にのみ奉仕する法律として構築する必要がある。

 

 生物多様性政策に代表される今日の自然保護行政は、自然を「人間が所有する財産」と位置づけ、希少種・在来種を珍重するために、「その財産を毀損する」と生物学者・環境NGO・動物運動団体が位置付ける、本来の自然の働きまでも地上から排除しようとする誤りに陥っている。種の保存主義が裡に持つ排斥主義、自然と人間の闘争関係が、生物多様性政策の駆除事業・保護増殖事業の本質である。そのため当然のことながら外来生物法は、いかなる方法でも野生動物を保護できない仕組みとして定められるに至っている。長崎県野生動物救護センターでは同じ野生動物でも外来種は救護しないとの方針である。敵国民でも救護するのが医師倫理のはずである。獣医師倫理は地に堕ちている。外来生物法には動物保護への強い敵意が存在している。我々は動物愛護法に現在、生物多様性政策が強力に入り込もうとしていることを洞察して、むしろこの誤りを是正する役割を動物愛護法に担わせる必要がある。

 

 全国的に都市部に比べて郡部での動物福祉対策は進んでいない。犬猫の持ち込み・捕獲殺処分は圧倒的に郡部が占めている。郡部での有効な虐待防止対策はおおむね都市部でも有効である。動物飼育免許制度は殺処分を近い将来ゼロにして我々の保護事業も必要なくなるであろう。飼育免許制度がなかったことで雲仙普賢岳の動物の置き去りが発生した。厚生省・環境省の感染症対策の結果、置き去りになった動物たちが次々と保健所に捕えられ殺害されていった事例は無くなるはずである。郡部対策の最も有効な方法は自治会を通して動物飼育者と動物を把握する方法である。その際、狂犬病予防接種の有無・登録の有無は切り離して調査することが必須である。目的を混同したり取り違えることは許されない。地方では自治会長またはそれに代わる者を通して動物福祉の情報の伝達、指導を行うことが最も効率的である。自治会の集会で伝達される通知は郡部の人々に最も信頼と敬意を持って受け入れられるものである。なぜこれまで身近に動物福祉の通知が存在しなかったのか?我々が見るものはいつも保健所への遺棄を勧める行政の通知のみであった。このことが民意を低下させ遺棄・保健所への遺棄・過剰繁殖・虐待・飼い殺しを産み出してきた。動物虐待は我々の身近で起こっている。だから、庶民の日常生活の中に動物福祉の理念を注ぎ込む事、このことが最も重要で有効である。

 

 学校飼育動物にあっても他の動物同様放置されたままである。文部科学省には担当部署さえ設置されていない。そのため教育委員会・学校への指導はなされていない。

「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の福祉条項はあってなきごときである。文部科学省委嘱研究として日本初等理科教育研究会から優れた指導書「学校における望ましい動物飼育のあり方」が出版されているにもかかわらず学校現場では生かされていない。理科教材・情操教育の教材として生きた動物を用いることは根本的に間違っていると思われる。学校飼育動物は今後、現在飼育中の動物が寿命で亡くなるのを待って廃止に向ける必要がある。それまでの間、ライセンス制度での指導は必須である。

 

 これまでの動物愛護法形成過程には様々な問題が横たわっている。殺処分行政の核心はガンジーの言葉「国の偉大さ、道徳的発展はその国における動物の扱い方で判る」ですべてが言い表される。結局のところ法律形成に係る人々の人格の問題に辿り着く。雲仙普賢岳噴火災害では行政及び長崎県獣医師会は我々が保護した被災動物の受け入れを拒否した。長崎県の動物愛護協議会では良心的動物愛護団体がすべて排除された。古くから国の審議会では、動物保護団体を選別し行政から閉め出すことが公然と審議された。低い人格が行政を支配しているのである。この問題にメスを入れることなしに動物虐殺がなくなることはない。小泉被告の厚生官僚殺害は正しかった。しかし今日、動物殺戮の本当の首謀者は動物愛護法・外来生物法作成者たちである。

 

【脚註1】

 1998年「動物の法律を考える連絡会」作成「いのちにやさしい社会の実現を 資料集1(改訂版):「動物の保護及び管理に関する法律」の改正を求めて」では、その新旧対照文に、旧〈犬及びねこの引取り:犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない〉を新〈犬及びねこ等の引取り:犬又はねこ等の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない〉に変更する法律案が記されている。その「改正の趣旨説明」では〈(犬及びねこ等の引取り) 近年、空前のペットブームにより、犬とねこに限らず実にさまざまな小動物が売買され家庭などで飼育されるようになってきた。その結果、それらの小動物が公園や山地などに捨てられ、野生化して生態系に影響を及ぼす場合も少なくない。行政は、犬及びねこその他の動物の遺棄の防止に努めるとともに、止むを得ない場合にはこれらの動物を引き取る必要がある。〉と記されている。

 

 上記〈行政は、犬及びねこその他の動物の遺棄の防止に努める必要がある〉の目的は、遺棄動物の殺処分防止ではなく、希少種・在来種の減少を防止するための愛護動物殺処分推進の文言であることに注意する必要がある。行政が犬の狂犬病・咬傷事故を防止するために遺棄防止を呼びかけ、遺棄場所を管理センターと指定し、殺処分の推進を計ることと同じである。生態系保全理念は動物福祉理念を内包しないため、必然的にその法案は動物の行政殺処分に辿り着く。ナチスドイツでは生態系保全理念に基づき、野鳥の保護のために野良猫が殺処分された。当時の自然保護団体はヒトラーの自然保護政策を熱狂的に支持した。今日のヤンバルクイナ保護のために野良猫が殺処分され、環境NGO・動物運動団体がそのような外来種根絶政策を熱狂的に支持する事例と同様である。

 

 ちなみに、太郎の友(旧:雲仙被災動物を救う会)はこの項目の削除を「動物の法律を考える連絡会」に求めたが、削除されなかったため「連絡会」を脱会した。この法案はその後、自民党に提出され、後に外来生物法として発展し、遺棄された飼育動物・自然界で繁殖した動物の大量虐殺を産み出した。太郎の友は当初から今日まで一貫して外来種根絶政策に反対し抗議している。

 

【脚註2】

 2005年3月、民主党動物愛護・外来種対策ワーキングチーム提出、「動物愛護管理法の改正に関する検討事項(政策骨子)では、生態系への配慮として〈生態系に対する侵害の防止〉を加え、〈「犬及びねこの引取り」は「愛護動物の引取り」に改正する〉とし、犬猫以外の愛護動物に対して〈他の愛護動物は「引き取ることができる」とする〉としている。

脚註1の「動物の法律を考える連絡会」改正案とまったく同じである。

 

【脚註3】

「殺処分政策の廃止を求める請願」 (2010年2月〜)

*主旨 

  • 現在日本政府によって、遺棄された動物たちの皆殺し政策が続いています。「日本固有の純血種を毀損する動物《人間により生存地を移動させられた動物とその子孫》は直ちに地上から抹殺すべき!」という考え方に基づいています。しかし本来これらの身寄りを失った動物たちは動物愛護法の管轄のもと保護すべき動物たちだったはずです。 

     
  • 現在動物愛護法・野生生物法には苦痛が伴う殺処分方法、苦痛が伴う捕獲方法とその器具の売買・所持を禁ずる規定がなく、行政による著しい苦痛が伴う残酷な殺処分が日本各地で日々実施されています。マングースを筒の中で絞殺する殺処分器具の新たな開発、 捕獲器の中で死んでいくタイワンリス 、口蹄疫防疫措置による消毒薬殺など、曖昧な法律自体が動物虐待を産み出す原因となっています。 

     
  • 生命と苦痛への配慮を著しく損なう今日の動物関連政策は新たな問題をも引き起こす原因となっています。「外来生物法」のもと無思慮に実施された飼育規制強化が却って飼育動物の遺棄増加を招き、市民団体による駆除、子供たちが駆除に駆り出されるなどの事態も生じています。殊更に感染症の危険を煽り立て、もともといなかったという理由で侵略者と見なし、遺伝子・生態系が汚染されると人々を煽動し、種の保存を目指して選別を計り、選ばれざる者の根絶を容認する社会の風潮を私たちは深く憂慮しています。 

     
  • この事態は、野生生物行政が愛護法上の規定を自ら適用除外していることのみならず、動物愛護法に遺棄動物を生じさせない根本的な制度が盛り込まれていないことも一因となっています。一度も動物を保護したことがない人々が机の上で動物愛護法を考え、法制化し、政策を実行し、安易な管理政策を先行させ、動物愛護の理念と動物たちそのものを切り捨てているのです。その結果、社会全体が動物の命を軽視するあまり、動物保護従事者が理不尽な苦労を押し付けられ、法令上のあるいは地域で迫害されるなどの人権上の問題さえ生じています。 餓死防止のための給餌が「餌やり禁止」の立て札一枚で非社会的な行為とされた宮島の鹿救済活動などはその一例です。 

     
  • 国は、これらの問題の解決策を示した熊本市の動物愛護行政を見習い、国の愛護行政の見直し、職員の教育に直ちに取り組むべきです。 遺棄が生じた原因【無責任な飼育者の放置】を、善意の飼育者の意思を妨げることなく免許制度で規制することによって、遺棄とその後の繁殖、虐待、飼い殺し、過剰繁殖・殺処分を防止するための体系的な指導体制が確立できるはずです。何十年もの間、動物愛護団体が行ってきたことを、飼育前の審査制度(飼育ライセンス制度)として国の法律に盛り込む必要があるのです。 

     
  • 動物愛護法が主体的に動物関連行政を主管し、野生生物行政の暴走を監視し、虐待の告発を公正に行う体制の整備を計ることで、包括的体制整備ができるように、動物保護の現場の切実な声を法律に盛り込んでいただくことを請願いたします。 

 

*請願項目 

1、 外来種根絶政策 (身寄りを失った動物とそのこどもたちの皆殺し政策) を即時中止してください 

 

身寄りを失った動物を動物愛護法のもとで保護を計るものとし、排斥政策の禁止を定め、「外来生物法」を直ちに廃止し、野生生物関連法における「生態系にかかわる被害の防止」条項を破棄して外来種根絶政策を直ちに中止してください。 

 

(対象法 : 動物愛護法・外来生物法・鳥獣保護法・生物多様性基本法・種の保存法・景観法・自然公園法・生物多様性条約など) 

 

2、引取り殺処分の拡大計画を直ちに廃棄してください 

 

動物愛護法「犬猫の引取」を「愛護動物の引取」に変更して、殺処分動物種を拡大する計画を中止し、「生態系にかかわる被害の防止」条項の盛り込み計画を中止して殺処分拡大計画を直ちに廃棄してください。 

 

3、苦痛を伴う殺処分方法を禁止し、行政行為(殺処分・駆除および委託許可)を適用除外とせず罰則を定めてください 

 

動物愛護法に、銃殺・絞殺・溺死殺・餓死殺・窒息殺・毒殺(パコマなどの消毒薬、サクシン、ストリキニーネなどの意識消失を伴わない薬物含む)・うっ血殺、撲殺などの苦痛を伴う殺処分方法・駆除方法を禁止し、行政を適用除外とせず罰則を定めてください。 

 

4、苦痛を伴う捕獲方法、器具の販売・所持、猟犬の使用を禁止し、捕獲許可制とし、行政行為を適用除外とせず罰則を定めてください。

 

動物愛護法に銃・絞殺罠・逆さ吊り罠・とらばさみ・くくり罠・エッグトラップなどの苦痛をもたらす捕獲方法・器具の使用・販売・所持および猟犬等の使用、箱罠の放置などの苦痛をもたらす使用方法を禁止し、保護目的を除き捕獲事案ごとに許可制としてください。 

 

5、動物愛護行政に、野生生物行政の殺処分政策を監視・調査・殺処分回避の指導・取り締まりをする専門部局を設けてください。

 

a)野生生物行政が愛護法・野生生物法の規定に反して殺処分政策を計画・実施した場合に、事前に行政行為の停止を指導し、実施した場合の罰則を定め、調査・取り締まり・告発を行う専門の部局を設けること。 

 

b)特定鳥獣保護管理政策の「殺処分による数の調整」理念を廃棄し、殺処分によらない農林業被害防止のための有効な被害防止対策制度の行政実施義務と違反時の罰則を定めること。【防除対策を最初期に実施すること、防除柵設置義務、追い払い体制の整備、開発制限、自然環境の回復、過疎地農業政 策の見直し、やむを得ず過剰繁殖対策を行う場合は殺処分以外の方法(不妊手術・インプラント等)を用いること、被害補償を実施すること】 

 

c)遺棄・逸走動物を野生生物対策として対処を実施する場合は、当該動物への行政保護義務を定め、違反した場合の罰則を定めること。 

 

d)衰弱死をもたらす政策の回避を義務付けること。 

 

e)海外からの動物の輸入・販売を全面禁止し違反した場合の罰則を定めること。 

 

f)野生生物対策への動物保護団体の審査を可能とする動物関連法検証委員会の設置を盛り込むこと。 

 

6、 動物愛護法・動物関連法に、遺棄とその後の繁殖・虐待・飼い殺し・過剰繁殖・殺処分を防止するための包括的・体系的な法整備・体制整備を進めてください。

 

一. 動物保護・愛護団体の意見を集約し、動物関連法・政策の審査・調査・検証を行う動物関連法検証委員会を国に設置してください 

 

全国の動物愛護団体へ意見集約の場を設け、動物関連法実施による遺棄・放棄の誘発、虐待の誘発、餓死衰弱死の誘発、殺処分の誘発、 一般飼育者への権利の侵害、民間保護活動従事者への人権侵害、保護動物への権利の侵害の防止を目的とする法律政令等の立案・実施に際しての事前の審査、実施後の検証ができる各地域の代表者が参加する動物関連法検証委員会を設置してください。 

 

二. 動物行政のつけを動物を見捨てられない人だけに負わせるのではなく、国民全体で支援する動物愛護サポート制度を行政に義務付けてください。

 

共同募金に動物愛護募金を加え民間動物保護施設や愛護活動へのサポート、地域で飼養者死亡時の養育体制のサポート、地域の学校飼育動物へのサポート、学校や自治会による猫との共存を計るための清掃活動等のサポート、災害時の避難体制のサポートなど。 

 

三. 動物愛護推進行政を実施するための体制整備として、各行政窓口に動物愛護推進に見識を持つ担当職員を配置してください。

 

国は動物愛護推進行政を実施するための動物愛護推進職員を置き、都道府県等は引取りを実施するすべての行政窓口で相談窓口を設置し、窓口への動物愛護推進職員と特別司法警察職員の配置、および各校区へ動物愛護推進員、各自治会へ指導員、各学校へ動物愛護担 当教職員、各警察署へ動物愛護法担当警察官、各動物取扱業者へ専任指導員を配置することを義務付けてください。 

 

四. 遺棄・過剰繁殖・虐待・飼い殺し・殺処分の原因への対処を事前に可能にする罰則を伴う飼育免許制度(飼育前の審査制度)を国に導入してください (以下の制度の立案・実施には動物保護の目的に反しないよう善意の動物保護活動の妨げとならないこと、善意の一般飼育者の飼育意思を妨げないことに留意し、一の「動物関連法きい検証委員会」での事前の審査、実施後の検証と速やかな修正が必要とされます。) 

 

(あ)飼育免許制度を導入してください。

 

遺棄・虐待・殺処分の原因となった無責任な一般飼育者・動物取扱業者の飼育を制限するため、新規一般飼育者・既存動物取扱業者に対して以下の要件を審査する飼育免許制度(飼育前の審査制度)を導入してください。

 

a) 過去の飼育状況の 審査 

 

b) 現在の飼育能力の審査 

 

c) 将来の飼育能力の審査 

 

d) 講習の受講 

 

(い)個々の動物への飼育許可制度 動物の新規飼育に際して不適切な飼育状況を防止するため、個々の動物に対する以下の要件を審 査する事前の飼育許可制度を導入してください。

 

a) 飼育免許を取得していることの審査 

 

b) 現在の飼育環境の審査 

 

c) 飼育予定動物に対する飼育者の適正審査 

 

d) 飼育者が死亡した場合および業務が困難となった場合の動物の対処に関する審査 

 

(う)個々の動物への繁殖許可制度 動物の繁殖に際して、不適切な飼育状況・過剰繁殖を防止するため、個々の繁殖に対する以下の 要件に関する事前の繁殖許可制度を導入してください。

 

a) 飼育免許を所持しない飼育者の繁殖禁止と手術義務 

 

b)出産に際しての母体と子供の健康に関する審査 

 

c) 繁殖後の飼育環境の審査 

 

d) 飼育動物の将来に渡っての安全確保に関する審査 

 

(え)動物の戸籍制度を導入してください。

 

 以上の制度の導入により個々の動物の繁殖から飼育・展示・販売・購入・譲渡・飼育までの動物の状況および飼育者をその都度把握し、個々の動物飼育への指導、迷い犬猫等の返還を可能にする動物の戸籍制度を導入してください。 

 

五. 加害者としての無責任な飼育者・動物取扱業者への対処を可能にする指導・査察制度の各都道府県への設置義務を定めてください 

 

(あ)自治会等との連携のもと既存動物飼育者の動物飼育情報を収集し動物の戸籍を整えるための行政収集義務を定めてください。 

 

(い)行政の引取義務を排し、引取依頼者への以後の飼育禁止処分を定め、引取りを実施するすべての相談窓口で、引取り申請者への指導を実施することで安易な引取りを防止するとともに、各動物愛護担当職員は自治会との連携のもと地域住民・学校・生徒(学校飼育動物問題含む)への遺棄・過剰繁殖・虐待・飼い殺し防止のための指導啓発を行い、動物飼育情報をもとに飼育者・学校・動物取扱業者への以下の要件の指導・査察・改善命令・措置命令を行うことを定めてください。 

 

a)飼育免許・飼育許可・繁殖許可制度 に照らした調査 

 

b) 適正飼育基準に照らした現在の飼育状況の把握と改善点の指導等 

 

c) 遺棄・放棄・虐待防止基準に照らした 指導等 

 

d) 過剰繁殖防止基準に照らした指導等 

 

e)一般飼育者への飼育免許取得の指導 

 

(う)飼育免許の取得資格に充たない動物取扱業者に対する特別指導・査察の実施。又は六の行政保護義務の伴う飼育禁止措置の実施 

 

六. 被害者としての身寄りを失った動物への対処を可能にする保護制度の各都道府県への設置義務を定めてください 

 

a)遺棄動物への過剰繁殖防止措置実施制度 : 生存を保証するための給餌制度を含む 

 

b)飼育動物情報による迷い犬猫の所有者確定と返還制度 

 

c)虐待された動物の行政保護義務制度 

 

d)捕獲動物、引取り動物の行政保護制度(一般への譲渡・一時預かり・民間動物保護施設への養育費支援の伴う譲渡などの推進を含む) 

 

e)公営集合住宅・民間住宅への飼育許可制度の設置と推進 

 

七.犯罪への対処を可能にする厳罰化・被害動物行政保護義務制度・取り締まり制度・飼育禁止措置制度を国に導入してください 

 

(あ)国は、遺棄・虐待等の厳罰化を定め、各都道府県等が相談窓口を担当する動物愛護推進職員から特別司法警察職員を任命することを義務付け、各警察署に配置された動物愛護法担当警察官とともに虐待・遺棄の捜査・過剰繁殖の取り締まりを行い、被害動物の速やかな行政保護義務の伴う虐待者への飼育禁止措置、虐待者への飼育免許の取り消しを計ることを定めてください。 

 

(い)国は、行政犯罪に厳罰を定め、動物愛護法のもと野生生物対策を専門に調査・指導・監視・告発する野生生物担当調査官(特別司法警察職員)を各都道府県市町村に配置してください。

お問い合せ

動物ボランディア団体全国民間ネットワーク
全国動物ネットワーク事務局

茨城県つくば市(以下略)

 

〒305-8799

筑波学園支店どめ

 

TEL:090-6112-7179

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8週齢みんなで一つになろうキャンペーン!
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動物実験/実験動物の自主管理状況と法整備に関する  公開アンケート 2012
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ロンリーペット
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福島被災保護動物リスト集
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翻訳協力

Ms. Yumiko Nakamura

Ms. Yoko Katsuyama

にゃん太郎