「動物取扱業の適正化について(案)」に対するパブリックコメントの募集が終了しました。
それに対し、事務局に寄せられた参加団体からのご意見をいくつかご紹介いたします。
【意見-1】(1) 深夜の生体展示規制
2頁38行 「明確な根拠を持たずに情緒的に決めることへの疑念 もある。」の全文削除を意見とします。
[理由]例えば動物愛護法(但し略称、以下同じ)第2条「動物 が命あるものである」、を字面通りに読むとき、「命あるもの」を「夜 間に限らず展示販売」する「極めて具体的な事態」に、「明確な根拠を持つ理論」が生じるからです。
【意見-2】(2) 移動販売
2頁54行 「何らかの規制が必要である。」を「この販売方法を 取り入れるべきではない。」に変更し、2頁55行から57行までの全文を削除する意見です。
[理由]移動販売がなくても、他の販売手段や方法のすべてが禁止されている訳ではないことが理由です。
【意見-3】(3) 対面販売・対面説明・現物確認の義務化
2頁68行 「また、これを遵守させるための監視方法についても検討する必要がある。」 の「」内を「また、対面販売・対面説明・現物確認のできない販売を行うべきではない。」に変更する意見です。
[理由]インターネット等により、販売者と飼い主が対面せず現物確認をしないまま取引を行う販売方法がなくても、他の販売手段や方法のすべてが禁止されている訳ではないことが理由です。
【意見-4】犬猫オークション市場(せり市)
3頁73行から83行までの全文削除を【意見-4の(1)】とします。
[理由]意見1から3までも同じですが、動物愛護法第2条「動物が命あるものである」とする法の精神の下で、この同じ法律の中に、動物の販売やオークションを盛り込むことで整合性がなくなり、執行のできにくい法律になります。従って動物愛護法の前段に「動
物基本法」を策定し、動物の販売などが必要であるならば、「仮称・愛護動物取扱業の適正化に関する法律」などの制定を想定できるためです。その中で「命ある動物をせりにかけてはならない。」などの規制をします。
【意見-4の(2)】動物愛護法の取扱業中に、犬猫オークション市場(せり市)を、業として禁止する事項を新たに盛り込むとする意見です。
[理由]犬猫オークション市場(せり市) がなくても、他の販売手段や方法のすべてが禁止されている訳ではないことが理由です。
【意見-5】犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢
3頁98行め「具体的日齢~~」から同101行めを次の「」内に変更する意見を【意見-5の(1)】とします。
(変更)「生後120日を超えない犬を流通・販売してはならない。」
[理由]狂犬病予防法により、『犬の所有者は、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合にあっては、生後90日を経過した日)から30日以内に、犬の登録を申請しなけらばならない。』と決められ、違反者には罰則もあります。従って法律上は、最大生後
120日を経過したすべての犬が登録されていることになります。しかし、我が国の登録違反が5割を超えるなどの報告もあり、取扱者も所有者であることから占有者なども含めた、飼養及び保管に関わる、法で定める責務の低下が従来より指摘されています。犬を流通販売しなければならないのなら、狂犬病予防法の執行を根拠に、また事業者による社会
的責任に配慮し、生後120日を経過した全頭登録後が、法の適切な執行方法として合理的です。
【意見-5の(2)】
3頁103行と104行の2行を削除する意見です。
[理由]営利事業を目的とする立場に対して、正反対の「動物が命ある」とする立場からの「自主規制充実」の実行について、その実行の現実性を想定できる道理がないため。
【意見-6】犬猫の繁殖制限措置
【意見-6の(1)】4頁118行めから120行めの3行を削除する意見です。
[理由]意見5の(2)と同じく、営利事業を目的とする立場に対して、正反対の「動物が命ある」とする立場からの「自主規制充実」の実行について、その実行の現実性を想定できる道理がないため。
【意見-6の(2)】次の「」内の追記を意見とします。
(追記)「動物取扱業といえども、動物愛護法第37条(犬およびねこの繁殖制限)の適用除外のないことから、動物取扱業者等は、万が一販売等に供されなかった犬およびねこについての、適正な終生飼養を行える機能と施設を持つこと。」
[理由]さらに、万事やむを得ないなどの理由から、動物取扱事業の所有や占有の目的から外れ、事業に供すことのできなくなった動物について、事業者といえども、法律による適正な終生飼養の責務の適用から除外されないことも理由です。
【意見-7】飼養施設の適正化
4頁127行から129行めにかけて、「専門的な知見を持つ有識者で構成される委員会において議論をすべきとの認識が共有された」で区切った後に次の「」内を追記し、同129行目の「具体的には次のような意見があった。 」から、141行目までを削除する意見です。
(追記)「ここでいう専門的な知見を持つ有識者とは、単に動物取扱事業に係る立場や勢力からの知見者との認識であることから、一義的に『動物が命ある』などの正反対の立場からの知見との公平性や整合性がはかられていない。従って今後の専門的な知見を持つ有識者で構成される委員会は動物愛護法の立法の精神から、『動物が命あるものであるこ
とにかんがみ』られる勢力分野の構成員をもってあてる。」
[理由]【意見-4】とも同じですが、動物愛護法第2条「動物が命あるものである」とする法の精神の下で、この同じ法律の中に、動物取扱事業者の権益等に配慮される事項などを盛り込むことで整合性がなくなり、執行のできにくい法律になります。従って動物愛護法の前段に「動物基本法」を策定し、動物取扱業の飼養施設などが必要であるならば、「仮称・愛護動物取扱業の飼養施設の適正化に関する法律」などの制定を想定できるためです。その中で可罰的違法行為(刑事罰)などの執行をします。
【意見-8】動物取扱業の業種追加の検討
5頁145行からの、「(8)動物取扱業の業種追加の検討 」の項目全般についての意見です。【意見-7】とも同じですが、「動物が命あるものである」とする法の精神の下で、各種事業に供され、各種事業内容により多種多様になる、動物の種々取扱等について、一義的に適切な規制等の事項を定めることが当初より困難です。従って動物愛護法の前段に「動物基本法」を策定し、「仮称・愛護動物取扱業の適正化に関する法律」などを制定することにより、動物取扱業の業種追加の検討も現実的になります。
[理由]例えば「動物の愛護を目的とする団体 」や「教育・公益目的の団体 」などの動物の保護管理方法と、当初より利益を享受する目的の動物事業者の取り扱い方法が、管轄行政の同じ所管で執行される法律で制定されるとき、執行や実行の現場行政の対応の混乱は容易に想定できます。法律は、国民が必要と思うとき作られるともいわれます。当初より執行のおぼつかない法律を国民が求める道理もありません。
【意見-9】許可制の検討(登録制から許可制に強化する必要性の検討)
8頁265行から、「(14)許可制の検討の項目」全般についの意見です。
仮に理念上では、「現在の登録制度が実質的な許可制として位置づけられる」ものであるとしても、そのような理念のもとでの現行法律執行の現場社会では、そのような現実として位置づけられていません。単なる法律の文面上のことがら程度の認識で推移し、法が目的とする執行を所管行政が行えない事態は周知の事実です。
登録制や許可制を超え、一定の国家資格を有する者への免許付与など、動物取扱事業者としての権威ある仕組みを構築し、免許を持つ有資格者などに対する、事業の許認可を定期的に総括し指揮監督できる仕組みなどを必要と考えます。例えば、哲学に裏付けられる医師の制度のようなものです。
[理由]現在の、人と動物との適切な関係づくりを思う社会にとって、事業者の格差や資質などから派生する影響が極めて強く、不適切な事態の抑止や防止、摘発などに対する行政執行力がなく、事実の適切な検証に裏付けられる法制度が必要であるためです。