「京都市動物による迷惑行為防止条例(仮称)」の制定に関する意見
平成24年8月の法改正により「犬猫を殺さない行政」へと変わった。猫については駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められない(付帯決議8項)こととなり、やむをえない場合のみしか引取ができないとされた。これにより、野良猫は基本的に社会に存在することとなった。
社会に存在する野良猫については不妊去勢手術を施して地域住民の理解の下に管理する地域猫対策を行い、猫の苦情件数の低減と猫の引取り頭数の減少に効果があるとして、官民挙げて推進を図る、との付帯決議(8項)がされた。
現在、全国の行政にて、地域猫対策と「殺処分頭数をゼロに近付けることを目指して最大限努力」(付帯決議6項)することを目指して取組がなされており、京都市の「まちねこ活動支援事業」はこの考え方に沿ったものと受け止められている。
従来、地域猫は、猫餌やりないしTNR活動(野良猫を捉え、避妊去勢をし、元の場所へ戻す)によって、殺処分行政ではなく、野良猫と共生して野良猫問題を解決することを目的としていた。しかし、これに対して、住民からは、猫の糞尿、鳴き声、アレルギーなどの苦情が出され、「連れて帰れ。持ち帰れなければ餌やりするな」「猫餌やりをしなければ野良猫はいなくなる。」と言われている。この苦情は、昔から社会に共生してきた猫に対しては行き過ぎた苦情であり、また、住民の受益のためにされているボランティアによる地域猫活動への誤解を含むものである。京都市の「まちねこ活動支援事業」が京都市民の受益のためのものならば、その活動の支え手であるボランティア市民への誤解を増長させ、波に乗り始めた「まちねこ活動支援事業」を衰退させるような条例の制定は行うべきではない。自ら飼養せよ、(無責任な)餌やりをするなという本条例案は法的知識のない一般苦情者と同レベルの内容であるといわざるを得ない。ボランティア市民に自ら飼養する法的義務もなければ、無責任な餌やりと適切な餌やりを区別できる苦情者も少ない。
野良猫問題の唯一の解決策である「地域猫活動」を根底から脅かす条例の制定が市民の受益を大きく損なう結果になることを危惧せざるを得ない。
よって本条例案から野良猫にかかわる全文を削除することを求めます。