2.13京都市議・局宛に京都条例・法的見解を送付

 
京都市が猫への餌やりに制限を加えたり禁止したり、餌をやる人を飼い主として自宅飼養させようとする条例を今月議会にかけ成立させようとしています。(13日議案提出20日より審議)
 
一方、動物愛護先進都市であり地域猫発祥の地として有名な横浜市では餌やり禁止も餌やり人に飼い主同様の責務を負わせることも違法だとしています。
以下は、横浜市が市が管理するすべての公園から餌やり禁止看板を撤去した経緯、餌をやる人を飼い主だと言ってはいけないことを確認した経緯です。

 

動物法ニュース32横浜市「ねこ餌やり禁止条例」の撤回   同34 横浜市ねこ餌やり禁止看板の撤去も参照ください。

 

http://yokohamaaigo.web.fc2.com/から多く引用

 

 

横浜市は市が管理するすべての公園から猫への餌やり禁止看板を撤去しました。(2011年)

その時の、環境創造局と動物愛護センター長からのメールは以下のとおり


ねこのえさやり禁止看板につきましては、9土木、2公園事務所が管理している公園で64看板あり、区の生活衛生課が設置した14看板を除く、50看板について、撤去、付替え、マーキング等による補修などの対応を完了しましたので報告します。

 今後は、ねこのえさやり禁止の看板は公園内に設置しないよう各公園管理者に周知する予定です。

 地元からねこのえさやり禁止看板の設置要望があった場合は、区の生活衛生課と協議し地域の問題として解決していくような対応をするよう説明したいと考えています。


2011.9.8

                 横浜市環境創造局公園緑地管理課

 

公園の看板については 直ちに当該区の生活衛生課に連絡しました 当該区が公園土木と調整して撤去等の対応を取るはずです

2011.9.14

                            動愛センター 泉

 

市が管理するすべての公園から餌やり禁止看板を撤去するにいたった根拠は、以下の通りです。(市民グループが提出し、環境創造局が決断した根拠)

                                                    横浜市環境創造局                       

                                                    平成23221日  

          N課長様    

              公園設置の看板につきまして

前略、横浜市内の公園に関するご公務大変お世話様です。

当会は横浜市を中心に、主に所有者の不明な猫の不妊去勢手術に取り組んでいる市民団体や個人を支援する活動を行っております。

こうした立場から、本日は最近、再整備された公園等に設置されている看板についての問題点を指摘させていただき、ご再考のほどお願い申し上げたいと思います。

貴局が神奈川区菅田公園や西区野毛山公園に設置している集合看板(いくつかの禁止項目が1枚にまとめられているタイプ)の中に、「ネコやハトに餌をやらないでください」とかかれています。

これは法に違反した文言であり、行政が看板(公文書)で餌やり自体を禁止することはできませんので、削除をお願いいたします。

尚、当会は公平中立な立場で法的な観点に基づいて種々の問題に取り組んで活動をしております事を申し添えさせていただきます。

看板から「ネコやハトにエサをやらないでください」と言う文言を削除すべき理由は以下の通りです。

1)       ネコは法律で動物の愛護と管理に関する法律(動愛法)で愛護動物に分類されています。愛護動物であるネコに対しての餌やりを禁止する法律はありません。「憲法」にも「動愛法」にも餌やりを禁止する条項はありません。

餌やり禁止看板は法律の範囲を超えた、憲法第94条「地方公共団体はその財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することが出来る」に係わる違憲となります。
所有者のいない猫に対する餌やり禁止罰則も法律に無いので憲法弟31条「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、またはその他の刑罰を科せられない」に係わり、同じく違憲です。

2)    憲法や動物愛護法では餌やりを禁止していないため、下位法の公園条例や自治体の動物条例で、上位法に書かれていない事を禁じることはできません。もし下位法の公園条例や看板等の公文書でえさやりを禁じれば、それは違憲や違憲行為となります。(給餌方法は指導できても給餌自体を禁止することはできません)

これを裏付ける実例は以下の通りです

  ※北九州モラル条例のうち野良犬野良猫へのえさやり禁止がはずされた                            ※荒川区のえさやり禁止条例(環境被害が出るほどの)ですら、可決しても実施できていない(これは裁判になった時に違憲立法であると判断される可能性があることに留意していると言われています。)

  ※中野区のえさやり禁止条例が議会で否決された

3)動物愛護管理基本指針は餌やりの方法について記載しています。つまり、法律の前提として「餌やりありき」で、餌やり自体を禁止していません。

4)自治体は公園内の動物につては憲法、狂犬病予防法、動物愛護法、公園条例に従って対応することになっていますが横浜市の場合もそれらの法律のどれにも「餌やり自体の禁止」は記載されていません。それゆえ看板に餌やり自体を禁止する文言を書くことはできません。

5)たとえば公園条例の中の迷惑行為にあたるという考えはどうかというと、迷惑の客観的立証は困難です。裁判になれば迷惑だと訴えたほうが迷惑であることを科学的に立証しなければなりません。 

  猫のフンが迷惑なら、本当にどの個体からの排泄物なのか、数やにおいの科学的な立証は訴えた側が行うようになっていますが、まず立証できません。何年も続いた騒音小母さんやゴミ屋敷ですら行政が行動を起こすことは大変難しいことを考えれば、容易にご理解いただけると思います。荒川のえさやりおじさんは道に生肉をばらまくというひどいやり方でしたが、条例も執行できていません。荒川区の職員に確認いたしましたところ、何度も粘り強く餌やり方法を指導し、少しずつ改善へ向かっているとのことです。

 (参照)


植田勝博弁護士の見解:野良ねこへの餌やりをもって、ねこの行為の迷惑や責任を餌やり者に転化することは、餌やり行為とねこの行動による損害は因果関係が一般に認められず法律上の責任からは認め難いものです

6)多くの自治体のHPに『えさやりを禁止してほしい』という要望にたいして、『動物愛護法によって餌やり自体を禁止できない。餌やりの方法を指導します』と回答しています。

 「愛護法にも狂犬病予防法にも、自分の自治体の条例にも禁止していないので、禁止できない」と答えている自治体もあります。

他の自治体がこのように公式に答えているということは、やはり法的に禁止できないことの証明となります。

7)大学法学部教授の意見:餌やり禁止によってTNR(所有者不明猫の捕獲⇒不妊手術⇒元の場所へもどす)という公益的な活動を阻害するならば、TNRに必須なえさやりを禁止することこそ、公共の福祉に反した迷惑行為です。

(参考)法学部教授の見解

公園を使う自由、公園が与える利益を享受する権利は全ての市民にあります。その自由と権利が制限されることには問題があります。餌やり禁止看板のために公園で制限されてしまうのは猫への不妊去勢手術や餌やりを通してコントロールを行いつつ環境を維持しようという明らかに公益性の高い行為を行う自由と権利です。餌やり禁止の看板によって公共の目的に即した行為に制限を与えるべきではありません。横浜市公園条例第5条第10項の迷惑行為ということについていえば、公益性の高い行為を阻止する「餌やり禁止」こそ迷惑行為です。仮に看板によってボランティアが公園での活動をやめてしまった後、猫が増えるなど公園や周辺の環境が現段階より悪化し、結果、迷惑を被る住民がいれば、責任の所在は看板をたてたところにあります。(以上) 

8)看板によってボランテイアが活動をやめた結果、猫が増える、捨て猫されるなど環境がさらに悪化すれば、それによって迷惑を受ける市民がいれば損害賠償の対象となりうる。(法学部教授の見解)

国家賠償法第一条第一項の可能性もあります。

9)餌やり者が法律にないことを看板に書かれて あたかも犯罪行為であるかのように決めつけられ心身共に苦痛を受けたら、人権侵害の可能性が高い(法学部教授の見解)

10)横浜市公務員服務規定違反の可能性もあります。

餌やりへの苦情主と餌やり者への対応についても以下に抵触することがあります。強硬な苦情に屈して看板を立てれば、以下に反することになります。

横浜市職員服務規定より

http://www.city.yokohama.jp/me/reiki/honbun/g2021639001.html

(差別的取扱いの禁止)

11条 職員は、一部の者に対してのみ有利又は不利な取扱いをする等、不当な差別的取扱いをしてはならない。(不当要求への対応)

12条 職員は、職務の執行に当たり、法令等若しくは上司の職務上の命令に違反し、又は職務の執行の公正さを損なうおそれがある要求に応じてはならない。

 (利害関係を有するものとの接触規制)

 以上の見解から、ネコへのえさやり自体を禁じる文言を看板に掲げることは不適切であり、違法であることがご理解いただけたかと存じます。

厳密に申し上げますと、ハトは野生鳥獣ですが、野生といえども給餌を禁じる法律はありません。しかも平和公園のドバトには動愛法が適用されています。

しかしながら、ネコに関しては愛護動物の代表的存在であり、行政がネコに対する給餌禁止を文言にすることは許されません。給餌方法は指導できても給餌自体を禁止することは違法、違憲となります。

 

結論

量産しているといわれている当該看板のすべてから「ネコやハトにえさをあげないでください」と言う一文の迅速な削除を要望致します。理由はこの文言は餌やり自体を禁止する違法なものだからです。行政は餌やりの方法は指導できても餌やり自体を禁止することは法的にできないからです。

動物に関する事柄は二重三重に難解な事柄が絡みますので、なるべく看板に掲載しないことが無難です。


行政は餌やり自体は禁止できないが・・・「無責任な」餌やりを禁止することも条例化することはできません。(法学者の見解)

 

「無責任な餌やり」という漠然とした内容に過料付きの条例を制定することは無謀であり法的に問題があります。「無責任」という定義が場所、住民の感覚、状況によって様々だからです。たとえば不妊手術のための捕獲時に置き餌は必要です。山間部と住宅街でも「無責任な」の解釈は違っていきます。大阪市議会で同様の条例が提案された時、提出された文書です。

結果、大阪市議会は条例化しませんでした。奈良市議会も、条例から猫については削除しました。


(法学者の見解)

「罰則を定めながら違反行為の要件が明確でない条例、または許可の範囲が不明確で行政(権力)に幅広い裁量権があるような条例は基本的人権を侵害し憲法違反となります。
今回、所有者不明猫への餌やり禁止の場所や方法状況等、どんな行為が無責任な餌やりとして違反なのか非常に曖昧になる可能性が高いと思われます。この様に適用範囲が不明瞭な条例は作ることができません。
市民が自分の行為が違反かどうか予測できず、解釈もできないような法律は作ることができません。不当な罪により罰せられる市民を生み出す可能性があるし、解釈する側(この場合は市)が自由に裁量できる(どうにでもできる)と、不公平な事態が起きうるので憲法が保障する基本的人権の平等権侵害の恐れもあります。」

この内容で過料までつく条例を作ることはできません。
「条例による規制よりも制限的でなく有効な他の方法(選択肢)があるので条例化は違法と判断される。」からです

京都市にはすでに所有者不明猫の適正管理については、いわゆる「京都市まちねこ活動支援事業」等、条例以外の選択肢が制度としてあり京都市の公式ホームページでは、「最初は地域グループさんも行政の職員も手探り状態で始まったこの活動ですが,今では全市で活動登録されているグループ数も 数を超え,手術頭数も冒頭のとおり300頭に達しました」とあり、新聞報道では「野良猫の増加を防ぎながら地域ぐるみで命を守っていく「地域猫」活動が、京都市で徐々に成果を挙げている。2010年度から始まった市の「まちねこ活動支援事業」に今年11月末現在、85地域(大学を含む)が参加。2009年度に1746匹だった市内の殺処分数は、12年度に1218匹と約3割減少している」(毎日新聞)となっています。
このように、条例よりも制限的でなく、しかも有効性が報告されている選択肢が存在しているため条例化することはできません。またこの条例によって逆に迷惑を被る市民が存在する懸念があります。声を出す市民の利益だけを反映するならば公平性に欠けます。

京都市は「エサやりを制限・禁止する条例は、「エサやりをする」権利や「エサやりをすることで得られる利益」などよりも制限・禁止することで得られる保護法益が大きい場合は違憲・違法ではない。」と考えているようですが、保護法益が大きいと立証できなければだめですし、利益を数量的、科学的に表せないならば、不明確な事柄について禁止するような条例化は基本的人権を侵害します。また公務員の公平性(一部の奉仕者になってしまう違反)という面からも、一部市民の声高な主張に偏るおそれがあり、公務員服務規程や倫理規程違反になる可能性が高い。

 

 

餌やりをしている人に飼い主としての責任を負わせることは法(民法、刑法)に抵触する・(横浜市条例案修正について)


「野良猫に餌やりしようとする方は自ら飼養いただく」とは法律を遵守すべき行政として言ってはならないことです。外にいる猫には本当の飼い主がいるかもしれません。だから餌をやっているだけでその人を家に連れて行かせ飼い主にさせたら、本当の飼い主(所有者)の権利を侵してしまう(所有権の侵害)ことになります。横領や窃盗罪に市民を陥れることにもなります。本当の野良猫であっても民法では野良猫は「無主物」とされ、無主物である野良猫の飼い主になるには本人に「この猫の飼い主になりたい」という意思がなければいけません。本人が希望しないのに野良猫の飼い主になるように言うことは誰にもできません。役所など公的立場にある人がそう言ったら「行政裁量権の逸脱」とみなされます。ましてや過料付きの条例にすることは論外です。(神奈川県のガイドラインはこの点をとても気をつけて作成しています)      


(無主物の帰属)

民法239条-1項・・・所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する       

「自ら飼養していただく」のがいけない理由のもうひとつは、猫を一生飼うには餌代や医療費、不妊手術代そのほか費用が必要となります。2~300万円は最低かかりますので、その費用をだれかに負わせることはその人の「財産権の侵害」をしてしまうことになります。これも民法に書いてある通りです。法的に義務の無いことを強要すると「強要罪」が適用されてしまう可能性もあります。とても条例に盛り込めるような内容ではありません。

刑法223  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する

横浜市では特に「横浜市動物愛護と管理に関する条例」が改定された2010年に、餌をやっているからといって飼い主、または飼い主と同一視される人と言ってはいけないことになりました。そして横浜市の職員さんは餌をやっている人に「餌をやっているのだからあなたが飼い主も同然、家に連れて行け」と言ってはいけないことになっています。

http://banbihouse.blog69.fc2.com/blog-date-20111112.html

速報!
横浜市動物愛護センター所長が野良猫問題について表明

横浜市として飼い主不明の猫に餌をやっている人に対して「飼い主」や「飼い主と同一視される者」等の表現を今後一切用いない。
野良猫問題の解決のためには先ず真の飼い主の徹底啓蒙から

http://www.ota-masataka.com/

(当時の愛護センター長が条例の解釈を誤解していたのを指摘、修正させた経緯が記述されています)


平成23年11月11日、太田正孝横浜市議と市民当会代表が横浜市動物愛護センター所長、課長と対談した席上、横浜市としての今後の方針が上記の様に明確に表明されました。

浜市は昨年末、餌をやる等飼い主不明の猫の世話をする人を飼い主や飼い主と同一視される者とみなすという条例文案が市議会により削除されたという経緯があ りますが、市中の現場では未だに野良猫問題の責任を餌をやって世話をしている人にだけ押し付けようとする事例が見受けられていました。
これに対して、横浜市として、餌をやっている人に対して「飼い主」「飼い主と同一視される人」「飼い主同様」「飼い主に準じる」などの表現を用いない事を18区役所に文書で周知徹底することになりました。

尚、当会から横浜市に対して、以下の様な説明資料〈註1〉を提出しております。この資料については複数の弁護士はじめ法律関係者から法的に正しいとの見解を得ております。

良猫問題の元凶は飼い主(所有者、占有者)の無責任な飼育(不妊措置をせずに外に出す等)と遺棄です。それに対して有効な対策を講じてこなかった行政の不 作為に起因するという理論も成り立ちます。この問題の源はここにあります。源に緩やかな対応のままこの問題の出口部分である「餌やり」に対してだけ厳しく 臨んでいては、永久に野良猫問題は解決しません。
今回の横浜市の決定は野良猫問題の真の解決に向かっての大きな一歩といえましょう。

註1
参考資料(横浜市へ提出済)

横浜市内で野良猫のトラブルが発生すると、猫に餌をやっている市民に対して「餌をやっている人が飼い主だ」「餌をやるからには飼い主としての責任を果たせ」「餌をやれば飼い主と同じ」など、餌をやる人を飼い主と定義する表現が市職員の現地指導や、広報紙中に散見されます。


「猫については、餌をやるということは飼うということになり、飼い主としての責任が生じます。飼い主として公園などの公共の場所を汚したり他人に迷惑をかけてはいけないと市条例で定められています」等。

市条例「横浜市動物の愛護と管理に関する条例」を主管する部署、横浜市動物愛護センター所長はこの様な指導をすることについての法的根拠について以下の見解を出しています。

「法的根拠につきましては 主として「横浜市動物の愛護及び管理に関する条例」に基づいて対応しております
具体的には
第5条第1項の 飼い主(実質的に飼い主と同一視される者を含む。以下この項について同じ。)
第5条第8項の ねこを屋外で飼養する場合
の何れかに該当する場合に一定の責務もしくは努力義務を設定しております
なお 餌を与える行為は上記に該当するかどうかを判断する一つの要素として考えております」〈註2〉
( 註2 平成23年11月11日、横浜市動物愛護センター所長は上記見解を撤回しました。)

まず市条例第5条1項についてですが
餌を与える行為によって、飼い主や実質的に飼い主と同一視されるかどうかについて、法的には以下の様になっています。

市条例中の「飼い主」「実質的に飼い主と同一視される者」は「動物の愛護及び管理に関する法律」の「動物の所有者、占有者」という言葉に該当します。

「単に野良猫に給餌している市民を所有者、占有者ととらえて様々な責務、義務を課すという効力が市条例にはある」との所長見解は正しくありません。

野良猫は無主物であり、その所有権については民法239条1項に決められています。

(無主物の帰属)
民法239条-1項
所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する

占有権については民法180条に決められています。

(占有権の取得)
180
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する

つまり、飼い主不明な猫の占有権を取得して占有者となり、所有権を取得して所有者になるためには、まずは本人の意思が絶対条件となります。
分から飼い主(所有者、占有者)になることを希望しない人に対して、第三者がそれを強要することはできないのです。行政が餌をやっているだけの人に所有 権、占有権を与えようとする行為は「行政裁量権の逸脱」の可能性があり、野良猫すなわち飼い主の不明な猫に実の飼い主がいた場合は実の飼い主の所有権を侵 害する事態もおこります。

尚、神奈川県ではこうした理由に配慮したと考えられ、県のガイドラインでは飼い主の定義に「所有・占有の意思を持って」という言葉が繰り返し入っています。
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/164749.pdf

また、市条例第5条8項については条例提出案修正に至る経緯(下記参照)や現行条例文言から「ねこを屋外で飼養する場合は」は明らかにすでに所有権、占有権を獲得している者の責務についての条項です。

結論
が国では民法180条、239条によって、飼い主の不明な動物について、自ら希望しない人を所有者、占有者たる飼い主(あるいは実質的に飼い主と同一視さ れる者)と言ったり、飼い主(あるいは実質的に飼い主と同一視される者)になれと強要することはできません。所有権侵害の恐れもあります。

ところで市条例についてですが、平成2212月16日の市議会本会議で、第72号議案「横浜市動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正案」が修正提案から「実質的にねこの飼い主と同一視される者は」の箇所が削除された形で採択されています。

参考資料
横浜市会議長
大久保 純 男 様
                       健康福祉・病院経営委員会
                        委員長 石 井 睦 美
  健康福祉・病院経営委員会報告書
 本委員会に付託になった案件について審査した結果を次のとおり報告します。
付託案件市第
1 72号議案 横浜市動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正
 以上次のとおり修正可決
第5条に5項を加える改正規定中「実質的にねこの飼い主と同一視される者は、当該」を削る。

提出原案
  実質的にねこの飼い主と同一視される者は、当該ねこを屋外で飼養する場合には、当該ねこの排泄物そのほかの廃棄物の適正な処理その他周辺環境に配慮した適正な飼養を行うよう努めなければならない。

神奈川新聞社発表文、横浜市健康福祉局、市長答弁の解釈は以下の通り
 飼い主が不明なネコに餌をやるなど、飼い主と同一視される場合には、周辺環境に配慮し排せつ物の処理を行うよう努めること


上記「実質的にねこの飼い主と同一視されるものは、当該」が削除されて可決したという経緯からも、また可決後の現行の市条例からも、餌をやる行為者を飼い主や同一視される者とする表現は横浜市の公職にあるものとしては不適切であると判断します。
野良猫に係る人が周辺環境に配慮して世話を行うべきということは社会通念上正しいことではありますが、啓蒙啓発目的に公職者が使うべき表現としては
今後は法律に基づいた表現を心がける努力を求めます。

 

追記

特に今回の京都市条例について法律の専門家の見解が出ていますのでご報告いたします。(2月11日)


京都市動物による迷惑の防止に関する条例(仮称)」中、猫への給餌に制限を加える部分について

 

法律に携わる専門家(弁護士、大学法学部教授など)の本条例案に対する見解は概ね以下の通りです。





 

0)この度、京都市では、「動物による迷惑の防止に関する条例(仮称)の骨子」というものを公表し、それに関する意見募集を行っています。まず前提として言わなければならないのは、条例案の条文が公表されていないということです。これでは、適切な意見を申し述べることは困難です。このような京都市の態度は、反省すべきです。

1)この度の条例案の中には、野良猫に対するえさやりを禁止する条項があります。猫は、人間が飼育する動物の中でも、非常に特殊な地位にあります。即ち、猫は、我が国では「動物の愛護と管理に関する法律」で愛護動物に分類されていると同時に狂犬病予防法による登録制度の適用も繋留義務もありません。猫の習性からも多くの猫が様々な状態で室外に存在しています。猫というものがこのような存在であることから、人間との共存のために世界的に避妊措置(繁殖制限)を軸とした所謂「地域猫」施策が行われています。京都市でも世界同様の方向性で、すでに所有者不明猫の適正管理については、いわゆる「京都市まちねこ活動支援事業」を展開しており高い評価を得ています。京都市の公式ホームページでは、「最初は地域グループさんも行政の職員も手探り状態で始まったこの活動ですが,今では全市で活動登録されているグループ数も 数を超え,手術頭数も冒頭のとおり300頭に達しました」とあり、新聞報道では「野良猫の増加を防ぎながら地域ぐるみで命を守っていく「地域猫」活動が、京都市で徐々に成果を挙げている。2010年度から始まった市の「まちねこ活動支援事業」に今年11月末現在、85地域(大学を含む)が参加。2009年度に1746匹だった市内の殺処分数は、12年度に1218匹と約3割減少している」(毎日新聞)となっており、その有効性も実証されています。

しかし、このような成果をあげているのも、まちねこ活動に登録している市民だけではなく、個人で自分にできる範囲のことを細々としている市民に支えられていることを忘れるべきではありません。極めて大勢の市民が「まち猫活動」に登録するまでに至らず、あるいは登録するにはハードルが高いため、個人であるいは小規模なグループで独自に多様な方法で支えてくれているのが現状です。それに対して、本条例案は過料つきで給餌に対して制限を設けることとしています。しかし、このようなことによってでは、給餌への偏見を助長し、こうした活動者の妨げになっても助けにはなりません。また罰則付き条例によって活動をやろうとする市民のやる気をそぎ、猫にかかわる市民が減れば、猫は増え環境は悪化していきます。条例案は多くのボランティア市民を結果として活動の場から撤退させることになるでしょう。要するに条例案は現在、有用性が認められ高い評価を受けている京都市の施策と方向性が違い、今までの流れを阻害するものであります。よって、この度の条例案の中で、野良猫に対する餌やり禁止の条項について、条例化は望ましくありません。

現在効果が認められ評価が高いまちねこ活動支援事業を拡充(予算面、内容、登録のハードル見直しなど)し、使いやすい制度にしていく方が適切な方向性です。


2)この条例案が不適切な理由は何よりも「罪刑法定主義」に反しているからです。罪刑法的主義とは何を罰するのか明確でなければいけない、罰則をつける時は裁く側の裁量を広くしてはいけないという近代刑法の大原則です。ところが本条例案ではどんな行為が罰せられるのか現段階で非常に曖昧です。即ち、京都市が発表した「骨子」では、「無責任な給餌(餌やり)をしたり、残飯ごみを放置してはならない」と書かれています。この通りの文言が条文に規定されるのかどうかは不明ですが、「無責任な給餌」というのは、内容が不明確であり、これを見ただけではどのような行為がそれに該当するのか、わかりません。また仮に違反行為の内容を具体化して明確にしようとしても猫への給餌については個々の事例ごとに状況が異なるため明確にはできません。ちなみにこの条例案における罰則は、「過料」であり、「科料」ではないから、刑罰ではない、というのが京都市の考え方かもしれません。しかし、「過料」は行政罰であり刑罰ではなかったとしても、一定の経済的な不利益を市民に科すものには違いなく、実質的には刑罰と何ら変わりはありません。従って、近代刑法の大原則である罪刑法定主義は、行政罰にも妥当するものであることは当然のことです。

本条例案はいわゆる「blanket条例」です。すなわち京都市全体をカバーするものを制定しようとしているのですが、猫への給餌については、住宅街、農村部などによっても状況が異なり地域性が高い問題なので個別に対応すべきです。これらの理由により本条例案では京都市全体をカバーできず、不当な解釈や運用による弊害が予測され、条例内容としても遵守、規制ともに困難であり、条例化は不適切と考えます。

 

3)さらに、この度の餌やり禁止条項は、動物愛護法2条第1項の「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」という条文に違反します。また、同法44条第2項の「愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ…衰弱させること」にも該当します。後者の行為を行った者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられます。

それまで人間から餌を与えられていた野良猫に給餌を突然止めれば、その野良猫は餌を失い、衰弱していくことは必至であり、餓死に至るものも多いでしょう。従って、それまで餌を与えていた野良猫に給餌を中止することは、明らかに「給餌をやめて衰弱させる」行為に該当します。この条例案は、餌やり禁止の点について、動物愛護法に違反する違法な条例であるというほかはありません。

この点、京都市は、この条例の下でも、「猫を自ら飼育いただく」か、「まちねこ活動支援事業に沿って、適切な管理の下で実施していただく」ということができるので、動物愛護法に違反しない、と考えているのかもしれません。しかし、多くのボランティアは既に多数の猫を抱えていて新たに給餌をしていた野良猫を家に迎え入れることは不可能なことが多いし、京都市の「まちねこ活動支援事業」は、要件が厳格でハードルが高く、すべての野良猫に対する餌やりについて、この事業に参加することは到底困難です。従って、上記のような京都市の考え方は、市民に困難なことを強いているに等しいものであり、野良猫の実態を踏まえない、机上だけの虚しい議論に過ぎません。猫については、「飼い猫」「人が占有している猫」「人が所有している猫」の概念が、犬のように必ずしも明確ではなく、法律もその解釈も、未だに明確になっていないという特徴があります。このような点が明確になっていない状態で、適切な条例を作ることは困難でしょう。この点はさておき、猫は、人が占有しているか否かにかかわらず、愛護動物として保護されなければならない、というのが動物愛護法の考え方です。野良猫についても、愛護動物として、命ある動物として、尊重し、保護しなければなりません。ところが、この度の条例案はこの点についての配慮が全くない、欠陥条例です。

 

  以上により、京都市動物による迷惑の防止に関する条例(仮称)」中、猫への給餌に制限を加える部分を削除すべきだと考えます。まちねこ活動支援事業やそれに類する活動の支援拡充、問題事例へのきめ細かな個別対応の強化によって問題を解決していくことを提言いたします。



 以上の見解を2月13日付にて京都市議及び局宛に送付致します。



お問い合せ

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〒305-8799

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動物実験/実験動物の自主管理状況と法整備に関する  公開アンケート 2012
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いつでも里親募集中
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ロンリーペット
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福島被災保護動物リスト集
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翻訳協力

Ms. Yumiko Nakamura

Ms. Yoko Katsuyama

にゃん太郎