http://elsaenc.net/aquarium/release20150425/
エルザ自然保護の会HPより
【プレスリリース】
動物園・水族館のための国際的な統一組織であり、世界中の300 以上の動物園、水族館、関連組織等が加盟する「世界動物園水族館協会(WAZA)」は4月22日、会員資格の停止を「日本動物園水族館協会(JAZA)」に通告したことを発表しました。(別紙参照)
この件については、日本の約170もの動物保護関係の団体による働きかけが関わっており、その中心的役割を果たしてきた私たち5団体(末尾参照)は、事の経緯、その背景について詳しくお伝えする用意がありますので、ぜひニュースとして取り上げていただきたく、プレスリリースいたします。
背景:
WAZAは2005年にJAZAを含む協会加盟団体に対し「日本のイルカ追い込み猟で捕獲されたイルカの購入を禁じる」通達を出していたのですが、その速やかな実行を求めてきた私共NGOとWAZA、JAZAの初めての3者会談が実現したのが去年の8月でした。
しかし、その時点でのWAZAの見解は、「生体捕獲を食肉用の捕獲とはっきり区別すれば、追い込み猟からのイルカの生体捕獲は、動物福祉の点から問題はない」というものでした。このことに関して、私たち5団体が昨年WAZAに送った問い合わせにも、その後の公開質問状にも回答がなく、突然、今回の通告が発表されました。なぜ一転して今回の通告になったのでしょうか。実は今、WAZAは「イルカの追い込み猟に関わる訴訟」を抱えています。今回のJAZAへの通告は、この訴訟問題と深い関わりがあると思われます。
私たちの見解:
国際的に権威のあるWAZAが、野生動物の捕獲について「動物の福祉」の視点を公に打ち出したことは、大いに評価できることです。また、WAZAが、長年倫理規範に違反してきたメンバーの会員資格を停止するのは、当然のことです。
しかし、私たち日本の5団体が目指しているのは、イルカの追い込み猟の中止であり、JAZAをWAZAから除籍することではありません。特に昨夏以来、5団体は、WAZAに協力して太地の追い込み猟の現状を改善し、猟の廃止を目指していく方針をとっています。
WAZAがJAZAを除籍するのではなく、資格停止処分にし、WAZAへの復帰の機会を残したこと、また、WAZAが今後もイルカ猟を終了させるために、JAZAとイルカ猟についての討議を続けるとしたことを歓迎します。
日本のNGOによる働きかけの詳細についてはこちらをご覧ください: http://elsaenc.net/aquarium/
世界動物園水族館協会(WAZA)による公表内容の日本語訳:
2015年4 月22日
今週、WAZA会議は、JAZAの会員資格を停止することを満場一致で票決しました。JAZAに所属する動物園・水族館が日本のイルカ追い込み猟からイルカを入手する件について、WAZA、JAZA間で合意に達することができなかったことから、この決定に至りました。
WAZAは、残酷で非選択的な方法によって野生から動物を入手することを禁止する方針を固く守るよう、すべてのWAZA加盟メンバーに要請します。
長年にわたって、WAZAは、JAZA及びJAZA加盟メンバーに協力して、太地のイルカ追い込み漁からのイルカの収集を中止するように働きかけてきました。毎年、追い込み漁は国際的な関心とイルカ殺しに対する非難を呼び、WAZAは、これまでこの行為に反対し、他団体とともに声を挙げてきました。
WAZAは、昨年の東京での会合も含めてこの問題について継続的に交渉を試みてきました。東京の会合では、WAZAはJAZA加盟メンバーによる追い込み漁からのイルカの入手をJAZAが2年間停止するよう提案しました。このモラトリアム(一時停止)は、JAZAによって拒絶されました。この件は、11月のWAZA国際会議でも再び取り上げ、JAZA加盟メンバーが追い込み漁からイルカを受け入れることについて、JAZAの見解を変えるよう促しました。JAZAは、イルカの捕獲方法に制限をつけ、イルカのケアを改善するというガイドラインの変更を、回答として提案しました。しかし、これは、追い込み漁からのイルカの入手を制限するものではなかったため、満足のいく合意に達しなかったとして、WAZA会議は、票決によってJAZAの会員資格を停止しました。
この資格停止の根拠は、JAZAがWAZAの倫理規範及び動物福祉に違反しているという決定に至ったことです。さらに、WAZA会議は、WAZAの見解として、WAZA加盟メンバーは太地のイルカ漁からイルカを入手しない決意を固めなければならないことを、再度断言します。
WAZAの使命は、動物園・水族館の世界的な共同体を代表する声となり、また、共同体が連帯して行なう保護活動の中心的存在として尽力することです。WAZAがこの使命を達成する方法の一つは、国及び地域の諸団体との協力を促進することです。重要なことですが、WAZAが、JAZA及びJAZA加盟メンバーとさらに討議を続け、イルカ漁によってイルカの命が失われることを終わらせる努力をしていくことを付け加えます。
注:drive fisheriesは「追い込み漁」、drive huntは「追い込み猟」の訳語を使っています。
http://animalnetwork.jimdo.com/イルカ追い込み漁に関する活動/
日本国の水産庁は、本件に関し、世界の人たちが納得いくような適切な態度がとれるのでしょうか?
それとも無視を決め込むのでしょうか?