2016年4月25日
要望書
熊本県知事 蒲島 郁夫 殿
現地対策本部長殿
熊本市長殿
熊本県市町村長殿
(宇城市、阿蘇市、御船町、甲佐町、嘉島町、合志市、荒尾市、八代市、南阿蘇村、球磨郡錦町、上益城郡嘉島町、天草市、葦北郡津奈木町、玉名郡和水町、水俣市、菊池郡菊陽町、宇土市、合志市、山都町、大津町)
熊本選出国会議員
松野 頼久 殿
藤末 健三殿
馬場 成志 殿
林田 彪 殿
西田 譲 殿
古賀 輝生 殿
木村 栄子 殿
木原 稔 殿
金子 恭之 殿
坂本 哲志 殿
園田 博之 殿
本田 顕子 殿
守田 たかし 殿
山本 伸裕 殿
よしとみ 和枝 殿
松村 祥史 殿
熊本県議会議長 松田 三郎 殿
■要望の趣旨
同行避難が大原則のはずですが、避難所の複数でペット締め出しが行われ、多数の相談が寄せられています。「①ペット同伴者専用施設、②ペット同伴不可の施設、の棲み分けに配慮するなどし、避難所の一角あるいは別施設に、ペット同伴避難者も受け入れられる施設の開設を求めます。また、今後移動となる公営住宅・仮設住宅に於いても、その一部にペット同伴避難者の受け容れが可能な棟を準備なさってください。アレルギー等を抱えた方にとっても、ペット同伴者とそうでない方との棲み分けがよろしいかと思います。どうぞご検討下さいませ。
■ 要望の理由
避難者は8万人にのぼり、23日午前9時までに確認されただけで、住宅の被害は熊本県内で5184棟に上り、被害の調査はまだ途中で、さらにおよそ5000棟が被害を受けているおそれがあるということです。
熊本県の蒲島知事は、熊本地震で自宅に住めなくなった被災者のために、避難所、公営住宅、仮設住宅、借り上げ住宅を準備なさっておられます。
東日本大震災では、避難所の多くで動物の入所が受け入れられなかったことから、被災地に残されたままの動物たちは、餓死や溺死で命を落とし、また放浪・繁殖し、冬を越えられず衰弱死しました。ともに避難した方も、動物の 受入施設がなく、置き場に困り、経済的・環境的に飼育不能となり、手放す方もみられました。動物を連れて避難し、避難所で受け入れられず
自宅に戻って亡くなった方、動物同伴では避難所に入れないことを知って、避難せずそのまま亡くなった方もいらっしゃいます。このように、避難所や公営住宅での動物受入の可否は、動物の命だけでなく、人間の命にも関わる重大な問題です。
2013年に改正された動物愛護法の付帯決議10項には、「東日本大震災の経験を踏まえて、動物愛護推進 計画に加えて地域防災計画にも明記するよう都道府県に働きかけること」とあります。たとえば被災した石巻市、塩竃市他では、公営住宅ペッ ト飼育要項が定められました。石巻市市営住宅ペット飼育要項第1条には、この要綱の趣旨として「市営住宅の室内におい
て、飼育者の精神的な平穏に大きな役割を果たすペットを飼育する場合におい て、他の入居者の生活を尊重し、良好な生活環境を維持するために必要な事項を定めるものとする」とあります。私たちは「人と動物の共生」 の道を模索する時代に生きているのです。
動物愛護法では終生飼養も謳われ、遺棄は罰金100万円以下の犯罪です。環境省も殺処分を減らそうと動いている今、避難所でのペット締め出しは、被災者による犬猫の遺棄やネグレクトを誘発する事態になりかねません。
■私たちの意見
日本国憲法第15条第2項にもあるように,「すべて公務 員は,全体の奉仕者であつて,一部の奉仕者ではない。」
従って,市や県には,動物を好まない住民だけでなく,動物が好きな住民の幸福をも考 える責務があり、仮設住宅や避難所でのペット飼育を一律に禁ずることは,同条項に反する。
仮設住宅等でのペットの飼育を禁ずる市や県は,
ペットを守るため仮設住宅等に入所しないという選択をする避難者を,どのように守る つもりなのか。
ペット可のアパートの家賃全額を負担するのか。或いは負担しないつもりなのか。
前者の場合,多額の出費に対して住民から苦情が出るであろうし,
後者の場合,生活に困窮する避難者が出ることは明らかである。
市や県が一律に「ペット不可」とする目的は,
鳴き声や糞尿等による住民間のトラブルや,汚れ・破損の防止であろうが,
それらはいずれも,住み分けやルールの設定によって解決可能である。
即ち,マンションでも「ペット可」と「不可」があるように,
仮設住宅でも「ペット可」と「不可」の棟を分け,適切かつ詳細な飼育のルールを定め ればよいだけの話である。
市や県には,動物を好まない住民にも配慮しつつ,動物が好きな住民の幸福をも実現で きるよう,最善の道を模索すべき法的義務がある。
その義務を尽くさず,安易に,仮設住宅等でのペット飼育を一律に禁止することは,職務の怠慢を越えて違法というべきである。
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動物愛護法改正では災害時に動物が適正に飼養保管されるための第六条第2項3が設けられました。
同行避難が大原則です。
「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」 (p.38より抜 粋)
「 <ペットとの同行避難>
避難をする際には、飼い主はペットと一緒に避難する同行避難が原則となる。
発災時に外出しているなどペットと離れた場所にいた場合は、自分自身の被災状況、周囲の状況、自宅までの距離、避難指示等を考えて、飼い主自身によりペットを避難させることが可能かどうかの判断が必要となる。
万が一、ペットとはぐれた場合には、ペットについての情報や避難時のペットの状況について、自治体の動物担当部署、警察等に届ける。
また、やむを得ずペットと一緒に避難できず、自宅等に置いてきた場合には、自治体の動物担当部署に相談する。」
(以上、抜粋)
ですから、現地対策本部、自治体、各避難所のスタッフさん は、どうか、環境省HPに掲載された 「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をご確認ください。
発災の今が、大事なのです。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html
熊本県庁健康福祉部乳肉衛生班
熊本市役所災害対策本部
南阿蘇村災害対策本部
西原村災害対策本部
益城町災害対策本部
山都町庁舎災害対策本部