被災動物市内に入る度に、ネグレクト虐待に出くわします。
絵本作家のうささん、Mさんが飼い主から依頼を受け、逃げた犬猫の捕獲をされていたお宅で、偶然行き合った飼育崩壊現場でした。
部屋には小さな卓上の照明がついており、おぼろげに部屋の様子が見えました。
ガラスの引き戸の向こうにみえたのは、部屋いっぱいに転がる錆びた餌の空き缶。
蜘蛛の巣。
空き缶と糞尿の堆積したケージのなかに閉じ込められた猫スコティッシュが、ガラス越しにすりすりと甘えてきました。
蜘蛛の巣のはる部屋のなかを別の猫がフリーで動いていましたが、片方の眼が病んでいるようでした。
ダックスとラブラドールが見えました。
ほかにも2階から犬の声だけが聞こえていましたが、外からは見えません。
繁殖に使っているのではないか。
ラブラドールには水もなく、暗がりにただ繋がれていました。
法改正があり、ネグレクトの定義が明確化しました。それに照らしても、見過ごすことはできませんでした。地震は関係なく、平時から犬猫はこの状態で飼育されてきたのです。
通報しました。
複数の警官が来ました。
午後には飼い主が呼ばれ、現場検証が行われたそうです。
聞いたところ、この家ぜんたいを犬小屋として使っているそう。だが業者ではないと言います。
家のなかから10匹以上の犬猫が見つかったそう。2階にも多数いたらしいです。
うち、5匹は飼い主の知り合いのペットショップが引きとっていき、残りは竜之介病院さんが一時預かり。
動物たちはすぐに保護になるかと思いましたが、警察によると、空になった家を飼い主が片付け、きれいにしたら、また全頭をここに戻すと言います。
え?
いったんはきれいになっても、ここはまたどろどろに戻ります。
本当に繁殖業者ではないのだろうか。
登録はしていないだけで、潜りの繁殖屋では?
なぜペットショップが引きとりに来たのか。普段から繋がりがあるからでないのか。
と、疑念が浮かびます。
愛情はあるそうで、可愛がってはいるらしい、
とにかくホーダーです。
放置はできない。
動物愛護法44条を使うか、あるいは公的機関による長い見守りと支援が必要。
元に戻すことはできない、動物たちをあの家から出さなければ。
戻すなら見守りと支援つきでないと。
警察署は、今回、勧告をしました。
再発があれば、次を考えると話されています。
探してみましたが、益城には保護団体がなく、益城の担当の愛護推進員さんに別の自治体の保護団体さんから連絡をとって頂きましたら、今そこに着手する余力がない。他県の方のほうが動ける、とのお返事でした。
そこで、警察署には、地元ボランティアさんの対応が無理であれば、預かりボランティアさんたちは九州に80家族いらっしゃるので、緊急保護と譲渡のご協力をするので、行き場がないわけではないことをお伝えしました。
警察は、飼い主には愛情はある、の一点張り。
しかし、人間の目線では、助けられないのです。
動物にとってどうなのか、を念頭に置いて対処すべき。
法律があっても運用しなければ事態はよくならないのです。
命に間に合わない、次はない、という経験をしてきた私には、ぬるく甘過ぎと感じます。
何度も電話で話しましたがムダ。
警察にはこのお宅の動物の見守り、飼育環境チェックの継続をお願いしました。
心配ばかりが増えて、根本解決はなされない、
やがて動物が死んでも、いなくなっても、
警察にそれを報告したって、
飼い主の所有権があるから仕方ないですね、残念でしたね、あなたのせいではないですよ、悲しまないでください、と慰められて終わりになるのです。
もう、そんなこと繰り返しても、助けないなら警察の存在する意味がない。
動いて下さい。
口がきけない動物を助けて下さい。