「2018年動物愛護管理法改正に向けて」院内集会の要旨

平成29年7月14日に衆議院第一議員会館大会議室で開かれた動物愛護管理法改正に向けての集会において、松野頼久衆議院議員、長年にわたり動物保護活動をボランティアで行ってきた鶴田真子美氏、宮崎県が違法に設置していた「不要犬ポスト」がきっかけとなり一住民として動物行政の実態を調査してきた筆者及び、野中龍彦の発言の要旨です。

 

当日の集会は、1人あたりほんの数分しか割り当てられた時間が無く、非常に限られた時間のなかでの説明を余儀なくされましたが、三氏の発言から、いかに動物管理行政が、腐敗しているかお解り頂けるはずです。

 

松野頼久衆議院議員の発言全文は、別途掲載しておりますが、本稿では、後半一部のみの抜粋になっていることにご留意下さい。

 

筆者が、行政組織による「殺処分」を調べていくうちにわかったことは、「殺処分」の背景の一つに犬猫の引取数や収容数の架空計上があることです。ここに本質があります。「殺処分」して焼却したことにすれば、証拠が残らない。行政組織が発表している「殺処分」に信憑性は皆無です。

 

(文責:野中公彦)

 

松野頼久衆議院議員: 略~本当に皆さんのご努力で、随分私が取り組んだ十数年前と比べるとよくなってきたというふうに思います。ただ、まだ悪いところがあるんです、たくさん。例えば自治体にしても、この間も聞いた話ですけれども、あえて僕はこういうところで実名を挙げることにしているんですが、山口県の岩国市、保健所、そこで金曜日に十数頭の猫がいた。そこの自治体、そこの保健所に引き取りの許可をもらっているボランティアさんは引き取っていないと言っている。だけど、土日で餌も与えていない状況で、月曜日に十何頭の猫がいなくなった。明らかにどっか行っちゃっているに違いないというふうに皆さんが、疑問を持たれている人たちがたくさんいるんです。だけど、自治体は譲渡している。譲渡しました。金曜日の夕方にいて、土日餌も与えてもいないようなところが、月曜日の午前中にいきなり来て十何頭の猫がもらわれていったということは、今までの雰囲気では考えられない。だけれども、僕は環境省から譲渡をしたというならば、どこに譲渡したのか言え、出してくれ、聞いてくれと言ったらば、環境省も自治体の事務なんでそれ以上言えないって言うんです。個人情報に関わるからなんて言っているけれども、引き取りを認めている団体の名前を言うことは個人情報でも何でもないんです。個人が本当に十何人来てもらったならば、個人の住所、名前を言うことはできないかもしれないけれども、団体の名前を言うことは個人情報でも何でもないじゃないかと言って、今ちょうど先週からけんかをしているところなんですけれども、まだまだこんなところがたくさんあります。たくさん。本当にそこをきちっと情報公開も含めて、今後やっていかなければいけないなというふうに思っているところでありますし、次の法改正ではそういう現状の声を聞きながらやっていかなければいけないなと思っています。

 あともう一個、こういう場なんでもしお願いができればと思います。熊本県の動物愛護センターという、実は話題になっていると思います。熊本県知事が前回の選挙の前に、多分どなたかがその現状というのを言ってくれたんでしょう。今までよくなかったんです。熊本県の動物愛護センター、殺処分数4,000頭ぐらいあって、あまりいい施設じゃなかったんですが、知事が多分そのことに気付かれて、いきなり方向転換をしまして殺処分ゼロを掲げて、今まで動物管理センターだったセンターの名前を、動物愛護センターに変えました。わざわざその場所に行って、知事も記者会見しているぐらい力が入っているんですけれども、正直言って、まだ現場の職員の数が3人だったのが、少し最近増えてきたんですけれども、まだ実際は知事の方向に振りきれないで、よちよち歩きで歩き始めて、あっちぶつかりこっちぶつかりで失敗もしています。その中で十何頭の猫が殺処分されちゃったという事件があって。ただ、どこかの団体の皆さんが、そこのせっかく今変わった保健所を、行政的な問題があるといって訴えられているということなんです。本当に後ろ向いててもうどうしようもないところではなくて、ようやくよちよち歩きで前を向いて歩き始めてきたところなんで、もしそういうお知り合いがいたら大目に見て、せっかく前を歩き始めたんで、訴えないでいただきたい。要は行政と僕はけんかばかりしても、決していい結果にはならないというのが持論であります。ただ、前を向いていない行政は僕もがんがんがんがん国会でもやるし、今みたいに実名も挙げて攻撃もするんですけれども。ただ、よちよち歩きでも前を向いた中での失敗は、どうか大目に見てあげてもらいたいなという思いがして、きょうこの場をお借りしてお願いをしている次第でございます。いずれにしても国会のほうではそういう活動をさせていただいております。日頃の譲渡に関わっている皆さんの力がなければ、殺処分ゼロというのは絶対に実現できないことは確かだし、ある意味行政が皆さんに甘えているというふうに思っていますけれども。ただ行政だけで、絶対にこれは成し遂げられないことですし、それにもし行政だけでやるなら莫大なお金がかかるんで、そういうところを本当に皆さんの力でやっていただいていることに心から感謝をして、随分時間取りましたけれども、私からのごあいさつとさせていただきます。きょうはありがとうございました。

 

鶴田:初めまして。私、鶴田と申します。今、松野頼久先生からお話がありまして、熊本県の告発をした団体は、そういった知り合いがいるようであれば大目に見るようにというお話がありましたけれども、私自身がその告発をした張本人でございます。それで、私の立場で申し上げたいと思いますのは、行政は甘くしてても変わらない。本当に死に物狂いで現場で戦って、やっと行政が変わっていくということなんです。告発をしたからこそ、熊本県は名前を愛護センターと変えまして、本気でこれからやっていこうという気持ちになっていったと思うんです。告発をしなかったらば、恐らくいろいろなところでまだ変化はなかったと思うんです。これは熊本県の情報開示請求をされているオンブズマンの宮崎の人たちも調べていることですけれども、この3月まで保健所で、一般の飼い主の不明な猫をただ捕まえて殺してしまう。公示をしないということが常習的に行われていたということが分かっております。飼い主の不明な猫を捕まえて殺してしまうというのは、これは非常に違法性があるということで、全国の動物行政はこれをほとんどやることを控えております。というのは、これは飼い主がいるかもしれない。所有権の問題に関わる。まず捕まえた猫、これは所有者を探さなくてはいけない。狂犬病予防法の対象ではない猫を勝手に捕まえて殺してしまうということは非常に問題だと。もうこれは環境省も自治体の職員もそういう認識になっているわけですから、通常であれば明らかな成猫は、保健所や行政では引き取らないということが全国的な習いになっています。ところが熊本県の保健所では、公示等がまずほとんどされたことがなく、そして触れない猫、これは野良猫だ、狂暴な猫だといって非業な扱いをしていたということが分かっております。これは情報開示請求をして分かっているもので、私ちょっと画像がなくて皆さんにお伝えできないんですけれども。

野中(公):3年で6件しかない。

鶴田:3年で6件しか公示をやっていないという。

野中(公):千何匹いて。

鶴田:千何匹いて6件しか公示をしていないということがあります。

野中(公):天草保健所。他は制度がない。

鶴田:他は制度がない。ですからこの自治体は全くやっていない。私も直接保健所で電話して、熊本県内の保健所で交渉しましたけれども、私たちがやっと告発をして動いてから、まずいと思ってこの4月から変わったんです。私はそうやって茨城県を変えてきました。松野先生、私はこの2年半、常総市で野犬で非常に行政と戦って、行政の職員男10人、松下さんと私たった2人でつるし上げに遭いながらも、それこそ野犬を守るために本当に交渉して戦ってきましたけれども。私の強い思いというのは、行政と仲良くするというのはその後のステップなんです。最初は本気でこの子たちを守ろうと思ったらば、さまざまな抵抗に遭います。利権団体もあります。でも殺したほうが楽ということもあります。たくさんのお金が動いている、動物行政には。

 狂犬病というのも、狂犬病予防利権というのも実際にはある。これは後になってまた宮崎のオンブズマンの方から発表がありますが、飼い主がいない犬猫をどういうふうに生かしていくか。私たち民間はそうやって必死に考えてやっていきますが、殺処分ゼロを目指している私たち、行政からお金はほとんど出ません。東京では殺処分ゼロ、やっと犬が処分ゼロになったけれども、現場のボランティアさんたちが身銭を切ってやっているからです。本当に行政が生かすためにお金と人件費を出しているかどうか、そこをよく考えていただきたいです。行政が本気に救おうとしなければいけない、もう民間に丸投げではいけない、そういう時代に来ていると思います。

 

鶴田:熊本は市のほうが殺処分ゼロ、本当に頑張って、それが私たちの希望となって全国変わりつつあります。ただ、この震災以降、本当に私たち現場に入って、熊本県の動物管理センターで私、本当にこの目でどういうことが行われているか分かりました。公示がされていません。それなのにセンターにはたくさんの猫ちゃんたちがいて、ひどい扱いを受けていて、子猫たちはミルクもない、哺乳瓶もない。私たちが必死に温めるための道具、ミルクを買いに走りました。そしてそこにいた子猫は全頭宮崎に連れて帰りました。福島しかり、常総市しかり、常総の水害しかり。何か災害があったら、必ず動物たちが日々ケージでどのような扱いを受けていたか白日の下にさらされます。そしてそこで私たちが動いて、これはおかしいと声を上げてがらりと変わるんです。この熊本の震災も、管理センターに入っていた子たちの扱いを私たち見て、これじゃまずいと思いまして、全国の収容施設の皆さんにアンケートを採りました。すると、子猫はほとんど処分している、ミルクもないところが多い、温めもないというところがやっぱり圧倒的で、公示も猫の場合はされていないことが多い。本当にこういった事実はよく分かりました。真実を暴く、そしてそこから変えていく。変えていくときは戦いです。戦いの後に初めて歩み寄りと話し合いがあるんです。私はこれを、この10年間の活動で分かりました。行政はしたたかです。たくさんのお給料をもらいながら、現場の子たちを助けるというふうに必死に動いているところがわずかしかありません。私は死に物狂いでこの10年間やってきました。本気でやっている仲間たち、ばたばたと倒れていきます。

 私の持ち時間はこれでそろそろ終わってしまいました。告発についてはお手元の資料の初めに書いてあります。これ、結局警察のほうが受理をいたしまして、この後で書類送検になるかどうかということが、これからの働きにかかってきます。ただ、猫1匹をどうするのかというところから始めないといけないと思います。1匹でも100匹でも変わらない。その猫を動物愛護法の光に当てて助けていくということが、私たちやっぱり最善を尽くしてやっていく、そこからだと思うんです。

 

司会:みやざき・市民オンブズマン、野中公彦さんから、熊本県動物管理センター収容動物の1つの不正操作ということでご報告をお願いいたします。野中さん、よろしくお願いします。

 

野中(公):こんにちは。宮崎から参りました野中公彦と申します。僕は平成14年ぐらいから動物行政の異常に気が付きまして、情報公開の請求をしながら、平成18年に宮崎県が引き取った引き取り動物の犬を、親子の犬を即日殺した件があって、それに関して刑事告発をしたんです。

 それの結果、警察はやっぱりおかしいって受理して捜査したんだけど、不起訴にされましたが。宮崎県の衛生管理課という管轄しているところは、最初はなぜ殺したのか僕らが問うと、要は動物愛護法に基づく引き取りというのは、狂犬病予防法における抑留期限が無い。要は抑留期限の不存在で殺しているんだと、そういうふうに言ったんです。その宮崎県の説明というのは、それを全国的に行われているといいますか、要はそこの施設というのは抑留施設であって、保護施設ではないから即日殺していると言っていたんです。僕らはそれを刑事告発したんですけど、宮崎県はコロッと途中で、それで言い逃れはできないということが分かって、譲渡に適正がなかったんだという嘘を言いだしたんです。結局起訴は逃れましたけど。

 

 熊本県の話に話は移りますと、熊本県というのは政令市の熊本市と別に引き取り業務とかやっていまして、熊本県というのがありまして、熊本県は動物の引き取りで最終的に処理をするところ、株式会社熊本県弘済会というところに委託しているんですけど、この弘済会に1億円ぐらい毎年支払っているんですけど。引き取りと抑留の引き取り数を全部情報公開請求して調べてみたところ、大幅な数の捏造(ねつぞう)というのがはっきりしたところなんです。まず、僕は皆さんの努力で法改正というのが重ねられているところなんですが、動物愛護法というのは不存在であると。全く守られたためしがないというのが、事実なんです。なぜかというと、動物愛護法というのは、昭和48年に動物の愛護及び管理に関する法律というのができたときの名称を変更されたものなんですが、そもそも昭和48年から適正な飼養保管ということで、旧動物保護法の第4条に、動物の所有者または占有者は、その動物を適正に飼養し、また保管することにより、動物の健康および安全を保持するように努めろと、こういうふうに書いてあるわけです。だから、例えば殺処分を目的に、例えば地方公共団体が犬とか猫引き取れますか。殺処分を目的として引き取れるわけないですよね。引き取れますか。誰か反論されますか。これはずっとまかり通っているわけです。だから、みんなきちんと法律の趣旨目的というのを読み込んで、それに照らし合わせて考えないと、行政組織の無謬性(注・むびゅうせい:理論や判断にまちがいがないこと)というか、行政が法に基づいてきちんと業務をやっているって、そういう幻想を捨てないと駄目です。僕は熊本県の所有者不明の猫についてちょっと調べていたら、熊本県は法改正なんか全く見てないです。例えば所有者不明の猫の引き取りというのは、平成24年に法改正されたときに、35条のもともと2項だったのが第3項にずらされているんです。にもかかわらず、熊本県は全く根拠のない条項で35条の2項を盾に引き取っているわけです。だから見てないんです、法改正自体を。タイムリミットですね。ということで、ちょっと尻切れなりましたけれどもありがとうございました。

 

司会:やはり宮崎からおいでになったANJのほうに書いてあります。野中龍彦さんに狂犬病予防利権についてお話をしていただきます。よろしくお願いします。

 

野中(龍):宮崎から来ました野中龍彦といいます。公彦とは兄弟です。僕が行政に興味を持ったのは平成10年ごろで、自分のところの飼い犬がいなくなって、結局行方不明になったんですけど、調べると宮崎県の衛生管理課というところが不要犬ポストとかそういったところを使って、それは県民も知らなかったんだけど、犬集めて殺しているという実態があって。さっき松野先生は、行政とは仲良くやりなさいということを言われたんだけど、僕いろいろ調べたんだけど、わざと殺しているんです。行政は、犬猫を集めてわざと殺している。その利権構造というのは説明しますけど、ちょっと松野先生甘過ぎるし、さっきの8週齢規制ということに科学的な根拠がないと言っていたけど、行政っちゅうのは引き取った犬を8週齢で殺しているんです。そんなことするんです。科学的な根拠がないっちゅうか。全く逆のことやっているんです。だからどんどん告発していくというしか僕はないと思います。実際僕が平成20年ぐらいか、告発して、実際それで警察動いて、殺処分数はそれで半分になったんです。結構だから行政内でも注意受けたりいろいろするから、やっぱそういうのは必要だと思います。全然法律も守ってないから。これじゃなくて、捕獲。これは狂犬病予防法というのが昭和25年にできまして、そこから60年間の犬の捕獲と返還数っつうのを計算したんですけど、ほとんど変わってないです。これ、ほとんど変わってないです。だから、要は飼い犬をわざと殺している可能性がすごいあるということです。僕も何件も確認したけど、飼い主が届け出ていてもいないといってうそをついて殺すと。そういうことも平然とやっているから、本当に僕らも注意が必要だと思います。

 なんでこういうことをするかというと、結局なんで引き取った犬を殺しているかというと、結局毎年狂犬病予防注射というのがあって、それっちゅうのはなんで打たないといけないかというと、野良犬がおって、それが狂犬病の原因になるっつうので。だから野良犬を不正に計上するというか。だから結局狂犬病予防に、だから狂犬病ワクチンを注射させる、そのために捏造しているというのが分かって。そのワクチンを作っているというのは、今問題になっている熊本の化血研というワクチン会社で、狂犬病ワクチンを100%ほとんど作っているところなんです。

 だから結局その殺処分維持の目的というのは、利権構造があるということを話したくて。松野先生は仲良くやりなさいと言ったけど、僕は全然厳しく、今からも行政の動物虐待に対して厳しく追及していこうと思います。もうそれしかないと思うんです。

 

野中(龍):だからその殺処分をやっているというのが、要は全国動物管理関係事業所協議会っつって、保健所が年間50億を委託している要は動物処分業者です。それを基に150億円のワクチン事業を生み出すと、そういう構造だと思います。あと、何もしない動物愛護の啓発利権です。何も自分らはこういう活動しないで、動物愛護の啓発、啓蒙で引き取り数を減らすと。一切、要は行政の動物殺戮行為に対しては何も言わないということが真相だと思います。松野先生は甘過ぎると思います。

 

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