相談事例から 高齢者の方が残していく犬猫&金魚と小鳥

相談事例から 高齢者の方が残していく犬猫&金魚と小鳥




(11.23)
市役所から相談メールがありました。

おひとり暮らしの高齢者A氏の飼い犬について。
A氏(81歳)はがんを患っており、入院による加療が必要。飼い犬3匹が心配で入院をためらっておられる。しかし、最近、食事や歩行も困難となり、「犬さえ何とかなれば、入院したい」という意向を示されている。A氏自身、犬の引き取り手を探したが見つからない。
自分の体調を考えると、早急に入院しなければならず、そのためには、これまで大切にしてきた飼い犬の処分も止む無しと思い悩んでおられる。

犬は以下のとおり

・8歳くらい(雌)黒色、体長約50cm、体高約50cm
・7歳くらい(雄)茶色、体長約50cm、体高約50cm
・7歳くらい(雄)茶色、体長約50cm、体高約50cm

去勢手術、登録、注射等は行っていない、との相談。

******************


昨日、午後にこの男性のお宅に案内されて犬を見に行きました。

奥さんを亡くされ、長らくおひとり暮らしだったAさんは、行政の支援を受けたがらず、ご自宅の近くのクリニックに点滴を打ちに行くだけだったそうですが、いよいよ犬の散歩もできなくなり、体調不良によりSOSを出してきたようです。


小さな住まいには、雑然としたなかにも盆栽がたくさん置かれ、小鳥や金魚が飼われ、生き物の世話がお好きなようです。


セキをしながら、苦しがって横になっておられました。
引き取り手を探したけれどだめだったから、保健所に連れてってくれと言ってるんだ、帰れ、帰れ、と泣いて怒っていました。
保健所でいいんだ、と。

犬3匹は庭木につながれて吠え立てていました。

まあまあ人慣れしているのはメス。
あとのオス2匹はメスの子どもだそうで、こわがりで、知らない人に吠え立てています。

いったん戻り、帰りにフードを持って寄ってみると、おじいさんがふらつきながら庭木につないでいた犬たちを檻に入れて暑い毛布をかぶせていました。

暖かく、大切にしていました。
檻にはきれいな水が入っていました。

苦しそうにセキをしながらタバコをふかし、もう死ぬんだから、と自暴自棄になっているようでした。


すぐにも入院したい、とのことですが、生き物を抱えて、動けない、ということです。

硬直した態度に戸惑いました。
保健所に頼んでいい、と。


翌日、八間堀さんが一緒に世話に来てくれました。
年が近いし、盆栽や小鳥や金魚など、生き物の世話がお好きな点も共通している。
私には心開かなくても、八間堀さんなら。


オス2匹は、狂ったように吠えていた前日とは違い、慣れてきて首輪にも触らせて、散歩も難なく出来ました。


餌と水と散歩。


焼きイモを渡すと、Aさんは、八間堀さんと私に怒鳴り散らし、帰れ帰れと怒鳴りました。

俺はもう、からだがダメになった、と。
お前たちは何を企んでいるだ、と。
犬は保健所に、と。

私たちがここで交代で犬は世話に通うから、おじいさんは病院に行って治しましょうと。


怒ってばかり。

でも翌日から、八間堀さんがミカンを持ってまた犬を世話しに行くと、Aさんは、頼むよ、とコタツから手を伸ばして受け取ったそう。
様子が変わり、少しずつ、心開いてきたようです。


生かすことはお金や時間や手間がかかるけれど、
場所さえ確保して、工夫してみんなで手分けしたら、
もう絶対に、生かせます。

自治体職員さんには心ある人もたくさんいます。
誰も殺したくないから。

センターや保健所に行けば殺される、と、みんな諦めている、これがそもそもおかしい、殺す場所ではない、本来は。法律をみても、緊急避難的な保護場所であるべきです。

処分とは、返還と譲渡。
殺すために、引き取りはしてはならないはず。

老いや病で倒れる方たちが残していく動物たちの問題が、最近は特に、重くのしかかります。




入院はされず、ギリギリまで自宅にいながら犬と暮らしたいようです。

私たちは犬の世話に通うことになりました。市役所に、預かりさんを探してもらうようお願いしました。それが条件でした。その日かTVの音などに注意して、男性が孤独死にならないよう見守っていくことになりました。

切なさがこみ上げてきます。病と老いばかりはどうしようもなく。
犬たちは手を出して触ろうとすると、なぜか頭を低くして後ずさり、怯えます。特にオスの2匹は。


隣の住人によれば、お爺さんが毎朝犬を小屋から出して木につなぐとき、犬がじゃれて跳びかからないように、いつも棒で犬を叩くから、犬にそのようなへっぴり腰のクセがついている、とのこと。



どこにでも起きる問題。
高齢者の残していく犬や猫。
いかに解決していくか。

それぞれの町に、緊急保護の、小さな生かすスペースがあれば。

ボランティアや獣医さんがそこに通って、皆で生かす。
やがては、地元の方の、雇用も創出できるような仕組みができたら。

 

(1.16)

 

オス2匹はフィラリア陽性でした。同じ環境のお母さん犬ななちゃんは、フィラリア陰性。お爺さんは、メスにはフィラリア予防薬を与えていて、産まれてしまったオス2頭には予防薬をあげていなかったのかもしれません。ななちゃんは預かり様を見つけてもらい、そのまま譲渡に。皆さんのお力で、お爺さんの犬だけでなく、金魚とメジロも何とかお世話をしています。

金魚は八間堀さんが連れ帰られました。水槽の水ごけで魚が見えないので何匹いるのかお爺さんに聞いたら、左に4匹右側に2匹。ボランティアさんが春先まで預かることになり、 仲間に脚立を押さえてもらい風呂場の窓から水槽をすくつてみると全部で5匹いたそうです。

メジロですが、お爺さんは山に放してと言ったそうです。が、山に餌のない寒い時季に放すことについては野鳥Gメン平野とらまるさんに確認して、放鳥の時期を教わって、それから山に放す予定です。

 

市役所から相談を受けて、入院治療を受ける高齢者の飼育している犬3頭のお世話に入ることになって3か月。そこにいた金魚とメジロ。助けて、と押し寄せる命、命、命。

 

1月30日、お爺さんは入院先で亡くなりました。残された犬には去勢とワクチンをしました。さあ。里親探しをしなければ。


あちらもこちらも高齢者からのSOS、坂東市だけでない、つくば市、鹿嶋市、土浦市。

ボランティアなどが必死に動いても追いつかないのです。

少子高齢化が進み、単身世帯も増えています。これからこの手の相談がもっと増えます。

将来的には民間が委託という形で受けるべきと思います。国レベルでは、厚生労働省と環境省で話し合うべきですし、地元自治体レベルでは、経済的に豊かなところが、例えばつくばや神栖が、実践してみてよい前例を作ることが突破口になるかと思います。

常総の捕獲のあと、坂東の3頭のお散歩。

毎日が、ハード。
八間堀さんが、我が事のように、必死に動かれています。

八間堀さんは、常総の鬼怒川水害で被災され、ワンコちゃんの預かりやフード支援を私たちの会がさせていただきました。避難所に入れてもらえず自転車置き場で震えていた高齢シーズーを、当会で引き取り預かりました。その飼い犬ぺちゃくんも、先日、虹の橋を渡りました。

そして今、八間堀さんは、私たちの活動を、しっかりと支えてくださっています。
当会にとって、大きな岩のような、礎石となって。

 

オス犬2匹の里親様を募集しています。

ANJ事務局 NPO法人CAPINまで

info@capinew.jp

お問い合せ

動物ボランディア団体全国民間ネットワーク
全国動物ネットワーク事務局

茨城県つくば市(以下略)

 

〒305-8799

筑波学園支店どめ

 

TEL:090-6112-7179

FAX:029-851-5586

Mail:Fwin5675@nifty.com

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